アウトフォーカスとかいって、実はただのピンぼけ写真だったりして(爆)「やべ、失敗しちゃった。」という写真からもテクニックと称して色々な表現方法を開発しているマクロ写真家の長瀬正太(@syouta0002)です。ヒーコ読者の皆さんこんにちは。と、いうことで今回は筆者のオリジナル表現方法「アウトフォーカスマクロ」のご紹介です。
本当に失敗写真からひらめいたテクニックだというのは実話なのですが、このテクニックの名付け親はFacebookで私の写真を見て下さった読者さんだったりします。その節は本当に素敵なお名前をありがとうございました。事実、私はずっと「ピンぼけマクロ」とか呼んでましたからね(センスなさすぎ)。
まずシンプルに解説しますと「ピントをどこにも合わせないでボケだけで構成されたマクロ写真」となります。とても抽象的で想像を膨らませてくれるふんわり写真になりますので皆さんもぜひ覚えてアウトフォーカスマクロにチャレンジしてみて下さい。
マクロレンズを使ったアウトフォーカスで写真を幻想的に表現する方法。
アウトフォーカスマクロとは。
まずはアウトフォーカスマクロという言葉についてさらに詳しく説明いたします。
アウトフォーカスマクロとはピントがどこにもあっていないボケだけで構成された写真なのに、見た人に一つの世界観が伝わるマクロ写真の事を指します。
つまり「ピントをわざと外してフォーカスを画面内から外した(アウト)全面ボケ写真」となります。
分かりますかね??分からないですかね?(汗)言葉だけでは非常に伝わりにくいテクニックですので、もう1枚参考写真をどうぞ。
このように、もみじの葉のどこにもピントを合わせないように撮影し、それでも「もみじの葉なんだな」「紅葉なんだな」から「秋の日の季節感や暖かさが伝わってくるなぁ」というイメージが伝わることを目指した写真となります。
ちなみにただの「ピンぼけ写真」との違いは狙って全面をボカしているという1点です。
まずはマクロレンズの準備
さて、とにもかくにもまずは「マクロレンズ」を用意してください。
別にマクロレンズでなくてもアウトフォーカス写真は撮れますが ”とても強いボケによる抽象的な世界観” が肝になってくる表現です。ですので、マクロレンズ、できれば等倍マクロレンズですと撮影しやすいでしょう。(等倍マクロレンズについてはこちらの記事をお読み下さい。)
「マニュアルフォーカス」にしよう
次に、フォーカスモードを「マニュアルフォーカス」にしてください。
ここではわざとフォーカスを外すという操作のためにAF(オートフォーカス)を切り、自身でフォーカスを外すことの出来るマニュアルフォーカスモードでの撮影が重要となります。
準備完了!
さて、マクロレンズが装着されマニュアルフォーカスモードにセットされたカメラの準備は整いましたでしょうか?
では早速撮っていってみましょう。
まずはピントを合わせて撮ろう
被写体が何であってもまずはピントを合わせた写真を撮りましょう。
この時点ではあまり難しい事を考えず、まずは一番目立つ場所(花なら花のしべや花びらの先など)にピントを合わせて1枚撮影します。
例として黄色のチューリップで見ていきましょう。
徐々にピント面を空中に外していく
次に、ピントを合わせた1枚から徐々にピント面を手前にずらしていきましょう。この時に被写体のどこにもピント面がかかっていない、ピント面が画面内のどこにも合焦していない状態を目指してずらしていきます。
また、この時点ですでに最短撮影距離である場合はそれ以上ピント面を手前にずらせません。その際はピント面ではなくカメラ自体を手前に引くことでピントを外していきましょう。
何も考えず何枚も撮ってみる
そうしましたら、ピントの外し具合などはあまり考慮せずにどんどんピント位置を外して撮影していきましょう。
筆者の場合は完全にボケて「やり過ぎたかな?」と思うまでに10枚ほどは撮ります。
良いボケ具合のものを選ぶ
最後に、それら複数枚のアウトフォーカス写真の中から「全面がボケている、それでいて何が写っているのかが伝わる良いボケ具合の1枚」を選びます。
ただ、どのような被写体でも「良いボケ具合になればそれで世界観が伝わるか。」といえば向き不向きがあり、ぜんぜん伝わらないただのボケ写真になることも多いです。
ですのでまずは練習だと思って様々な被写体でアウトフォーカス撮影を試してみましょう。
完成写真例
こちらが長瀬流アウトフォーカスマクロ完成写真例です。
注意点
このアウトフォーカスマクロ撮影、ごそごそっと群生している草花ですと抽象的になった際に伝わりにくいので上手くいかない事が多いです。それよりも一輪で咲いている花や一本だけ飛び出ている草花などが抽象的表現でも伝わりやすく、この表現に適しているでしょう。
また丸ボケや近くの花や葉のボケなども上手く絡めることで画面内に物語性を作ってあげられるとより一層イメージが膨らみます。
上段のもみじの葉(新緑)の写真では「あたかも上から落ちてくる光の粒をもみじの葉が受け取っているようなイメージ」で撮影しました。
オススメの被写体
私がいままでに撮影した被写体の中では特にもみじ・桜・コスモス・チューリップ・さくら草・バラなどが適していると思います。
これらは花(葉)の形状がシンプルかつ、完全なボケのシルエットだけでもイメージが伝わりやすいことが大きな要素だと考えています。特に桜やもみじの紅葉などはかなり大きくアウトフォーカスさせても「これは何?」という事が伝わるでしょう。また季節感までもが表現を盛り上げてくれるので言うことなしな被写体だと思います。
※ただし、それらの花をよく知らない方や外国人の方などには伝わりにくいことがあるかもしれません。
まとめ
「ピントがどこにもあっていないボケだけで構成された写真なのに、見た人に一つの世界観が伝わるマクロ写真」のこと。
- 等倍マクロレンズがお薦め!
- マニュアルフォーカスでピント位置をコントロール。
- 群生よりも一輪で咲いている花が狙い目。
- シルエットや雰囲気だけでも伝わる草花が適している。
実際に撮影してみないとイメージが掴みにくいテクニックかもしれませんので皆さんにもぜひ色々な被写体を見つけて挑戦してみて欲しいです。それではまた!
※「これは良いのが撮れちゃったかも!!」という1枚には #ヒーコ や #アウトフォーカスマクロ といったタグを付けて写真SNSサイトなどにアップロードして下さい。筆者がカメラをぶん投げ手を叩いて喜びます。