写真家とSNS、倍率三倍のプレミアムチケットとなった豪華トークを公開!

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SNS活用が目覚ましい昨今。もはや写真業界においてその波は成熟していると言っても過言ではないでしょう…!そこで先日、SNS写真時代の最前線で活躍する御三方に、「写真家とSNS」をテーマにフリートークをしていただきました!プロフェッショナルな写真家として活躍するかたわら、SNS運用にも注力している今回の登壇者は、一体何を考え、どういったスタンスでSNSと向き合っているのでしょうか。

この記事では、ヒーコスペシャルトークパーティーSNS写真時代 フォトグラファー像の「今とこれから」の第二部「写真家とSNS」トーク内容をお届けします。トークパーティにご参加された方は復習に、行けなかった・知らなかった!という方はこの機会に是非!

※会場限定でお見せした資料は、記事に掲載しておりません。

Index

SNS写真時代 フォトグラファー像の今とこれから「写真家とSNS」

豪華絢爛!2月20日(水) ヒーコスペシャルトークパーティー開催決定!SNS写真時代 フォトグラファー像の「今とこれから」

イベント概要はこちら

登壇者一覧

  • 黒田 明臣

    四足のわらじ

    黒田 明臣 / くろだ あきおみ。国内外SNSやコンテストを中心とした活動から商業写真家へ転身。商業領域では広告写真や雑誌を中心に活動。フォトグラファーのSNS活用やコミュニティマーケティングを推進している。ビジュアル制作とメディア運営を主事業として株式会社ヒーコを立ち上げ。同社代表取締役。個人としても、執筆、セミナー、イベント登壇など幅広く活動する。

  • 保井 崇志

    写真家

    2010年に趣味で写真を始める。Instagramとの出会いがキッカケで、2015年にフリーランスフォトグラファーに転身。Instagramを通じての企業案件やアーティストの撮影など、新しいフォトグラファー像を追求している。

  • 濱田英明

    写真家

    濱田英明。写真家。1977年、兵庫県淡路島生まれ。2012年、35歳でデザイナーからフォトグラファーに転身。同年12月、写真集『Haru and Mina』を台湾で出版。雑誌や広告撮影など幅広く活動中。http://hideakihamada.com/ Instagram:@hamadahideaki

登壇者紹介

【黒田】

本日はお集まりいただきありがとうございます。第二部は「写真家とSNS」というタイトルでこれから1時間トークショーをやらせていただきたいと思います。

かれこれ1時間ほどバックヤードで盛り上がっておりまして、その話をみなさんにもお聞かせしたかったなと思いつつ、まずは登壇者紹介ということで進めさせてください。最初に、今回ゲストとして来ていただきました保井崇志(@_tuck4)さん、よろしくお願いします。

保井崇志

【保井】

これは少し古い写真で、この時よりだいぶ太ってしまってますが。これは独立前、2014年の時のものかな。2015年からフォトグラファーとしてやらせていただいています、保井と申します。よろしくお願いします。

【黒田】

よろしくお願いします。その隣にいらっしゃいますのが、濱田英明(@HamadaHideaki)さんですね。

濱田英明

【濱田】

同じだな。これも古いプロフィール写真。

【保井】

痩せていますね。

【濱田】

先に言われた。

【保井】

お互い太りましたね。

【濱田】

言い訳しないといけない。

【黒田】

これはいつ頃の写真ですか。

【濱田】

もうそんなのはいいですよ。

【黒田】

これは少し前ということですね。

黒田明臣

【黒田】

次は俺ですね。本イベント主催のヒーコという会社で代表しています、黒田明臣(@crypingraphy)です。

【濱田】

これはいつの写真?

【黒田】

自分のは最近ですね。社内のみんなで撮った写真で。今日は雑なMCということで会話を回しながら進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

早速、「写真家とSNS」というテーマに沿ってお話をしていきたいなと思っています。

商業撮影とSNS

【黒田】

まずは「商業撮影とSNS」というお題で話をしたいなと思っています。商業撮影とは、単純に仕事としてお金をもらって写真を撮影するということで、商業写真家だったり、いわゆるプロカメラマンであったりといった言われ方があると思うんですけれども、商業写真家として活動しつつ、SNSもやっているという点、これが我々3人の共通点なのかなというところで、まずはそれぞれのスタンスを浮き彫りにできればと思います。最初に自分からいきましょうか。

仕事とSNSをあえて切り分ける

【黒田】

自分自身は、皆さんにどういうイメージで見られているかは想像できないんですが、日々Twitterであったり、InstagramであったりといったSNSに写真作品を投稿し続けています。時系列とかも無茶苦茶で、発表することが最優先みたいな状態なんですけど、自分の場合はSNSで写真を発表するということはあまり仕事と関係ないと思っています。これは意外に思われるんですけど。

では普段、仕事として何を撮影しているのと言われたら、例えば化粧品とか、雑誌で人物撮影をさせてもらったりとか、あとは企業の広告ですね。

自分は特にその活動をSNSには繋げていません。これは自分なりのチャレンジというか、もともと自分はSNSでずっと遊んでいた人間なので、自分の写真自体が商業の世界で通用するのかというところを、写真のみでチャレンジしたくて。それで自分の名前を出さず、会社名義ではあるんですけど、商業撮影用のサイトを作って実際に仕事がくるかという社会実験をしていました。結果、ありがたいことに仕事をいただけるようになって現在に至るという流れです。クライアントの多くは自分のSNSも知らないのではないでしょうか。

SNSとリンクしている部分で言えば、写真雑誌とか来月あるCP+のようなイベント、あとはメーカーとのタイアップなどであったりとか仕事に関しては、リンクしています。もちろん自分はSNSで育てられた人間だと思っているので、写真関係に閉じた仕事の場合はSNS上で告知も兼ねてご報告はするんですけれども、そこを切り分けているというのが特徴の一つかなと思っています。

先程もバックヤードで、SNSに対するスタンスを3人で話していると、それぞれ違うなというところがありました。保井さんはまた違いましたよね。

SNS投稿をパッケージにして仕事と繋げる

【保井】

僕は全部の売上とか収入のうち長期契約であったりとか、スポット契約であったりとか、その割合とかを出して…あと、僕はnoteとかもやっているのでnoteの売上とか、どれぐらいのパーセンテージなのかなというのを出してみたんですね。

やはり長期契約というか、年間で毎月こういうテーマでやってくださいとか、そういう企業と契約してやるという仕事が収入としては割合が大きくて。その内容としては先ほど言ったSNSの投稿というのはパッケージになっていて、毎月の納品枚数というのがもちろんあって、その中から自分自身も月に1回コストするということで、基本的にはそういう座組みです。

Instagramでタグの上に何々とのタイアップとか出ていますよね。

【黒田】

最近できるようになりましたよね。

【保井】

この3人の位置づけで言えば、それを僕は積極的にやる人です。サムスンとか富士フィルムとか毎月やって一つ投稿するとか、そういう座組みでやっています。

それは嫌々やるというよりは自らこことタイアップしているということがプレゼンスになったりとか、そういう価値を生むような企業を自分自身が選んで一緒にやっているという位置づけになります。

【黒田】

もう作品として撮られていますもんね。

【保井】

そうですね。撮らされる写真を嫌々アップするというよりは、もう撮りたい写真を撮って、その中から一つ自分のベストショットをタグ付けて、タイアップ投稿として投稿するという座組みを年間でやっています。

【黒田】

商業撮影とSNSという文脈だとどうですか?

【保井】

みなさんはよくご存知だと思うんですけど、僕は本当にSNSでこの世に出させてもらったということもあるし、そこが一つのマネタイズと言ったら変ですけど、写真家として一つの収入の入り方の道なのかなという風に思っています。

【黒田】

新しいスタイルですよね〜。

【保井】

「何枚納品します」「何投稿します」結局は納品するんだけど、その納品した写真を改めて、いわば印刷に使いたいとか、ウェブサイトで改めて違う場所で使いたいとか、そういう段階で二次使用料として本来の契約の金額とは別に写真使用料という形で、これはまたいくらでという風にお金を取るという形で、これがいわばもともとのカメラマン、写真家の作品を買うとか、既存のと言ったら変ですけど、そういう収入の入り方でグラデーションになっているというイメージですね。

【黒田】

濱田さんは写真家として、作家としてやられていますよね。

今は、SNSを気分で使っていきたい

【濱田】

アーティストのようには、自分では言ってないのですが、自分の作品を自発的に撮って、それを発表していくというタイプではないです。そういうことも少しはしますが、基本的にはいただいたお仕事を打ち返すのがベースにあります。保井さんとすごく対照的だなと思うのは、いわゆるタイアップ、スポンサードのような仕事は積極的に僕はやらないという風に決めているというか、できないなと思っていて。そういうことがあまり得意ではないというか、向いていないというか。

例えば僕のInstagramだったら、投稿するかというのは100%自分で決めたいなと思っていて、決めるというかもう気分ですね。これを思いついたから今はこれやろうとかそれぐらいのことでやりたいので、そうじゃない自分をコントロールする何かが入ってくることをできるだけ排除したいなというのがあるんですよね。それが理由で、僕もお話はいただくんですけどお受けはしていないんです。

僕はもともとグラフィックデザイナー、ウェブデザイナーでやっていたので、旧来の広告とか、そういう紙のメディアとかに対する憧れみたいなものがすごくあるんですよね。こういう広告がやりたいという夢というかそういう思いみたいなものも常にあって、今はそれにもっと取り組みたいというのもあります。

将来的に保井さんみたいなやり方をやらないよとか、そういうつもりは全くなくて、今、旧来のシステムがまだ機能しているうちにできるだけ100%、取り組んでおきたいなというのがあります。

いずれおそらくそれがなくなっていくか、残るとしても縮小していく世界だと思うので、ギリギリ踏ん張って関われる部分にまだ自分はいると思うので、そのチャンスはちゃんと握っておこうというのがあります。

【黒田】

SNSは作品を上げるとか、例えば仕事を上げるとかでもいいと思うんですけど、他人と約束したくないというのがあるんですかね。

【濱田】

僕はそうですね。

【黒田】

保井さんとは、すごく対照的な感じがします。

【濱田】

割り切ればできると思います。いつかそういうフェーズが来るかなと僕も思っているんです。

【黒田】

わかります。フェーズはありますよね。今じゃないというか。

【保井】

でも濱田さんは想像できないですね。

【濱田】

いや、でもタイアップはすごく魅力というか。自分がやる意味のあるものだったらやりますよ。今が魅力がないみたいな話になっちゃう。違う。違う。そういう意味じゃない。

【保井】

ここにあるからね。

新しいSNSの切り口

【黒田】

でも、濱田さんはけっこうSNSとの切り口で言えば、新しいスタイルを切り開いていると思っていて、例えばドラマとタイアップで公式SNSアカウント用の写真を撮ったりとか、おもしろいですよね。

【濱田】

あれは完全にSNSだけなんですけどね。

【黒田】

ああいうスキームって今までなかったんじゃないかなと思うんですけどね。

【濱田】

そうですね。やはり今までの、ドラマの公式のInstagramのアカウントというのは、舞台裏であるとか、演技されていないところのオフショットがメインに扱われていたと思うし、それはそういう需要がたくさんあるからだと思うんですけど、そうではなくてドラマの世界観と地続きのものをInstagramでもきっちり見せるというのは、おそらくあまりなかったはずですね。

【黒田】

そう思います。映画でもドラマでもスチールが入るというのはあるじゃないですか。

【濱田】

もちろん。

【黒田】

現場を撮ってというのはあったと思うんですけど、それをフォトグラファーの作家性含めてマーケティングの一つとして実行するというのは、新しい気がします。それを切り開いていっているなというイメージはすごくありますね。

【濱田】

そうですね。でもたまに聞くのが、見ていただいている方はそんなに、別にドラマのアカウントで綺麗な写真を見たいわけではないという、おそらくそれが大きな意見だと思うんです。そういう役者さんが世界に入っている時とは違う、気が緩んだところの素顔が見たいという人がたくさんいるはずで、基本的にはそういうドラマの公式アカウントってそれが役目だと思うんですよね。

ただやはりそういうちゃんとした写真で世界観を崩さずに見てみたいという人も一定数いて、僕はその数が逆転することはないと思うんですけど増えていくとは思っていて、その枠というのはおそらくこれから確立されて他の人もどんどん参入できるチャンスではあるんじゃないかなと思います。

【黒田】

それはそうですね。確かに。SNSと既存メディアやドラマや映画などに代表されるコンテンツとのコラボレーションについては、各社手探り中な中で、すごくいい一手だったのかなと傍から見ていて思いました。

おそらくSNSとの取り組みは、世の中にはまだ浸透していないと感じています。我々はそこにフォーカスしてるのでSNSが当たり前になってますけど、ドラマを見ている層に浸透しているかというと、おそらくリテラシーがまだ高くない感じはありますよね。

【濱田】

そうですね。おそらく見ていただく側の気持ちの問題もあると思いますね。

#もしもSNSがなかったら

【黒田】

そこが成熟していくというか、そういう意味では「もしもSNSがなかったら」という取り組みなんかはまさにそういうことなのかなと思います。

【濱田】

そうなんですよね。やはり今はSNSっていう自分のメディアを、今日いらっしゃっている方もほぼ持っていると思うんですけど、そこで発表するというアウトプットがあって、それに対して写真を撮るという時代というか空気があると思うんですけど。でも本来はいい写真を撮りたい。撮った、うれしい。だから見てもらいたい、という流れがあったはずで、ただSNSの登場によってそれが崩れるというか、変革した部分があるというか、そういう時代になったと思うんですが、それによって、例えばスマホだったらスマホという数センチ、10センチぐらいの世界で一番綺麗によく見える写真というのが求められていくというか、この数年で見るプラットフォームとかデバイスによって写真が最適化されていくという現象が起きたと思うんです。

一方で、大御所の写真家のSNSが実はそんなにたくさん見られていなかったり、それを職業としていない人がすごく見られていたり、それも逆転というか境目がどんどんなくなっていっているというのがもう客観的な数字で目に見えるようになってきたという現象があって、当然そういう数字が写真を評価するわけではないのですが、写真というのは自分たちにとってどういう風なものであるべきかなのかをもう1回改めて考えたいなと僕は思ったんですよね。

自分と他人の評価の違い

【濱田】

そこで何をやったかというと展示をしたんですが、同じ写真を1点だけ選んで、見えるメディアを全部変えたんですよ。一番端はiPhoneで、2枚目はチェキ。3枚目はプリント。4つ目がTシャツ。5つ目は大判プリント。これはおそらくインクジェットプリント。テレビのモニタ。実はまだこっちに続くんですけど、ブラウン管テレビとか、パソコンとか、あとチェキもあったかな。その状況が許す限りいろいろな媒体で見てもらおうと思ったんですね。

【濱田】

これは何が言いたかったかというと、スマホとかInstagramというデバイスやプラットフォームにどんどん最適化されていく写真がそういうのを飛び越えた時に同じような見え方をするのかどうかというのを1回立ち止まって考えてみたいなというのがあったんですよね。この写真を選んだ理由は過去2年間で一番たくさん見てもらえた写真の一つだったんですよね。でもそれだけだと客観的な理由だったんですけど、僕側の問題としてそんなに見てもらえると思ってなかったという写真を選んだんですね。

結果、全く想定していなかった、全く見てもらえないと思っていたこの写真が結構見てもらえたという、自分の中で評価が乖離している写真を敢えて選んで、自分と他人の評価が違うものをここに投じてみることでどういう風に見られるかというのをやってみたかったんです。

【保井】

これはビニール袋が飛んでいるんですか。

【濱田】

そう。写真自体が「だからなに?」っていうものなんですけどね。

【保井】

かわいいな。

【黒田】

ある意味で決定的瞬間ですよね。

【保井】

これは台湾でしたっけ?

【濱田】

台湾で袋が飛んでいたので撮ったんですよ。僕はもちろんおもしろいなと思って撮っているんですけど、見る人が見たらただのゴミ袋じゃないかと。

【保井】

確かに。

【濱田】

そういういろいろな見方ができるはずで、見る人によっては全くおもしろくもないし、おそらく僕はどちらかというとそういう想像をしていたんですよ。でも僕はそこを全く気にしていてなくてとにかく出そうと思って、ただ想定していた以上の反応があったというのはすごく不思議だなと思って、これは僕の写真がどうこうということではなくて、誰にでも起こりうることだと思うんですよね。

あと、アンケートをとっていろいろな意見を聞いたんですけど、結果がおもしろかったのは「Tシャツが一番かわいかった」という。僕の中では「あれ?」と「Tシャツか!」という気持ちで。それで想像したのは、Tシャツというのは自分が使うものとして想像できるというか、自分ごとにできるし、単純にものとしてのかわいさがおそらく評価されたんだと思うんですね。

僕の立場からすれば本当は写真のプリントとかそういうものがおそらく一番、世の中的には価値があるものとして提示できるわけですが、そこがもうずれてしまったんですよね。でもここで立ち止まって考えたいのは、やはりメディアが変わってもその写真に力があれば、どのメディアに対しても耐えうるのではないかと仮定して、撮る立場の人はその前提とか心構えで撮ることが大切なんじゃないかと思っています。

10センチだけのところに収めていくということだけに集中するよりも、この写真はパソコンで見た時にどういう風に見えるのか、大判プリントにした時にどう見えるのか、そこの可逆性を意識することが大事で、おそらく大きい写真も小さくするといまいちということもあるかもしれなくて、スマホの画面だけで完結してしまう写真というのは置き換えにくいかもしれないなと思っています。

【黒田】

そうですね。SNS、インスタナイズされ過ぎているという可逆な可能性はありますよね。

【濱田】

それをあえて狙ってやるかでまた意味は変わると思うんですが、やはりそういう意識を持つこと、どのメディアに置き換えても耐えるものを撮ること、少なくもそういう心構えでいることが大事だなというのはこの展示の裏テーマだったんですけど、あえてそこまではステートメントには書かなくて、展示を見てどういう風な考えを持ちますか?という風な提示だけをしてみたんです。

【黒田】

それは取り組みとしてすごくおもしろいですよね。まさに今回の対談にもマッチしていると思います。

【濱田】

でもみんな好きなのはTシャツですけどね。

【黒田】

そこはInstagramを見ているとか、大判で写真を見るとか、写真展に行くとなると、我々、写真鑑賞のマインドで行動すると思うんですけど、Tシャツは違うじゃないですか。Tシャツを写真鑑賞としては見ないですよね。でもSNSはどのスタイルで見ているのかは人によって変わる気もしていて、自分は写真鑑賞としてSNSを見て「いい写真だな」とか思ってしまいますけど、そうじゃない人の方が世の中には多いんだろうなというか。

この写真の「いいね」は今どれくらいなんですか。

【濱田】

これが今は17,000ぐらいですね。

【黒田】

このうちの何人が写真鑑賞として「いいね」をしているのか。おそらくここにいる人はみんな写真好きな人だと思うので写真鑑賞という観点で「いいね」をやっていると思うんですけど、「おもしろいね」とかっていうので「いいね」をしている人も中にはいるかもしれないですよね。

【濱田】

ほとんどそうかもしれないですよね。でもおそらく保井さんがそこがすごく上手だなと思うのは、自分が見てもらいたいものとか発信したいものと、フォローしてくれている人が見たいものがどれだけマッチしているかという、そこの落差が僕はどちらかというと差があるなと自分で実感しています。

【黒田】

まさにこれがそうかもしれないですね。

【濱田】

そうかもしれないですね。

【保井】

まずビニールは撮らないですよね。

【濱田】

なんかおもしろいなと思って。

【黒田】

なんか飛んでいるなと。自分だったら素手で拾いに行っちゃうかもしれないですね。

【濱田】

でもこれがおもしろいのは、台湾の人が見たらこれは台湾の社会問題だと言うんですよ。

【黒田】

そうなんですか。

【濱田】

ゴミがそうやって飛んでいるから。

【保井】

なるほどね。

【黒田】

これはよくある光景なんですか。

【濱田】

おそらく向こうではそういう風な「またゴミが飛んでいる」「それは問題だよね」という発想になるし、それは本当に見る人の視点とか価値観で全く違うものに捉えられるんですよね。

【黒田】

複数の意味を持っているというか、ビジュアルのおもしろさでもあるかもしれないですね。

【保井】

でも基本的に濱田さんの写真は誰が見ても、誰でも、性別、年代限らずいい写真だなと思われるような感じがありますよね。別におだてているわけではなくて客観的に見て思います。

【濱田】

どうなんでしょうね。

2割の「お得意様」に発信を届ける

【保井】

僕は先ほどの話でいうと絞っていて、僕の写真が好きな人に向けているんです。10人いたら例えば2割なのかわからないですけど、お得意様専用なんです。

【濱田】

具体的にどういうことか教えてもらえませんか。20代でとかそういうことですか。

【保井】

最近、ファンベースという本があるんですけど、あれがすごくおもしろくて、最近思っていたことが全部書いてあるなと思ったんですよ。本当にあれをぐっとまとめると、お得意様というのがいて、一見様が10人いたとしたら8人は一見さんとして、2割の2人はお得意様。百貨店とかの売上でもだいたいこの2割の人が売上の6割とか8割とかを上げていますよというお話が書いてあって、SMSもたくさんのフォロワーがいて、フォローしている人以外にももちろん自分の写真とか、自分の発信が届くわけじゃないですか。

でも客観的に見て濱田さんの写真は、濱田さんをフォローしていない人が見てもいいなと思えるような写真というのをかなり撮っていらっしゃるなって思っていて、結果はどうなるかは別として、僕は本当に10人いたら2人はいいと思ってくれるよねという絞ったところを必死に攻めているということですね。

【濱田】

その絞ったパイがめちゃくちゃ広いんじゃないですか。

【保井】

結果的にそうかもしれないですけど、僕もフォロワーがいない時があったから、それを一貫して続けてきたというのはあります。

【濱田】

そういう意味では被写体の選び方が保井さんと僕とではずれているなと思っていて、僕はこういう世界だし、保井さんは、例えば京都もやりますし。

【保井】

そうですね。観光地とか。

【黒田】
コンテンツの刺さる層は確かに保井さんは広いイメージですね。

【濱田】

わかりやすさはおそらく保井さんの方があると思います。

【黒田】

人を撮るというのはその時点でターゲット層が狭くなると思っていて、濱田さんは人を撮ることが多いじゃないですか。その時点でおそらく狭い部分があると思います。

【保井】

ポートレートは数はいかないものですよね。パーソナルになってしまうんですよね。

【濱田】

被写体との関係性ががうつってしまって、鑑賞者がそこに入りづらくなるのはありますよね。

【黒田】

想像ができすぎてしまうというか、やはりイマジネーションが具体的になりすぎると厳しいというか、結構ポートレートは具体化の極みみたいなところがあると思うので、ファンベースもそうですけど、コミュニティ論というか、我々はSNSをやるということは自分の見えないコミュニティを持っているというような考え方もできると思います。

あとはパレートの法則じゃないですけど、ごく少数が全体、例えば経済であれば経済を担っているとか、そういう構図にはみんななっているのかなという気はしますけどね。

だからそこの2割に対して、自分をものすごく待ってくれている人たちに対してコンテンツなりをより提供できるようにするといったところは、おそらく保井さんはすごくうまいんだろうなという感じがしますね。

【保井】

それも日々の投稿のトライアル、トライアンドエラーです。これはいいな、悪いなとか。

【黒田】

そういうのはありますよね。本当にすごいなと思うんですけどブレないというか。新しいこともやってるんですけど、やっぱり保井さんらしさがあるからファンもついてくる。ビーズやミスチル的なスタイルというか。

【保井】

「フォロワー数は多い方がいいんですか」とか聞かれますが、フォロワー数っていうと一つの塊のブロックというか、「フォロワー数」というまとまりになってしまうんですが、フォロワー数って、分解と言ったら変ですけど、画面越しに一人一人の人がいるわけで、その人たちはそれぞれ好きとか、嫌いとか自分の人生があって、何かのご縁で僕の写真とか発信を見てくれているという意識はありますね。

【濱田】

それと似ているのは、僕が投稿する時は具体的にこの人がいいなと思ってくれたらうれしいなと思い浮かべてやります。1000人が「いいね」と言ってくれたらうれしいというよりかは、それは結果としてはうれしいんですけど、この人に届いたらそれだけでいいと思いながらやっています。

【保井】

届いた人がまた僕のことを宣伝してくれるんですよね。Twitterとかはやはり顕著なんですけど、濱田さんもそうだし、濱田さんの写真がどんどん拡散していく応援団になってくれるんですよね。そういうのが可視化されていっておもしろいなと思うんですよね。

今までももちろんあったのだろうけど、情熱が分散されるツールみたいなものはなかったわけで、その伝達の手段としてSNSが、マッチしたのかなという風に思いますね。

SNS、ボーナスステージは終了した?

【黒田】

そういう意味でいくとSNSで、保井さんの場合はInstagramやTwitterをやられていますけれども、このボーナスステージが終了したというのはどういうことなんですか。

時系列で見るフォロワー数の変動

【保井】

これはさらっとお話をしますと、SNSって、InstagramもTwitterもそうなんですけど、写真がすごく溢れてきたじゃないですか。結論から言うと見る側のリテラシーというか、写真審美眼のようなものがすごく上がっているなという風に感じています。僕とか濱田さんとかは割と投稿に対する反応に出ているなと。こちら今お見せしているデータはInstagramのフォロワー数の増減というものなんですけど、Instagramのビジネスユーザー、プロフィール画面に連絡先、メールはこちらとか載せられる人っているじゃないですか。

その方がビジネスユーザーであれば別に僕は他人のアカウントでもデータを取れるんですね。それを僕は何個か登録していて、濱田さんはやはり写真としての力があって、投稿する、しないに関わらずどんどんどんどん増えていくんですよね。

僕もそういうフェーズにあると思っていて、僕は2012年からInstagramをやっているんですけど、ただ一方で2010年、11年からやっていらっしゃるような方で、すごいフォロワーを持っている方がいるんですけど、これを見ていたら投稿はしてはいるんですよね。投稿もしていてるにもかかわらずフォロワー数が下がっていくというものです。

【濱田】

なんでだろう?

【保井】

だからこれは3人ぐらい僕はブックマークして見ているんだけど。

【濱田】

この方は乱降下しているけど何があったんだろう。

【保井】

これを見て、自分なりの仮説としてこの三者のグラフを取っているんですけど、その三者は先ほどの話でいうと、Instagramの文脈で割と写真を撮ってらっしゃるという感じで、カメラマンとか写真家という感じの写真ではないんですね。すごく加工をされていたりとか、それこそ色飽和してしまっていて、それでもボーナスステージみたいなものがあって、その人のキャラとか、その人のインスタグラム、写真としてはそんなに…というといけませんけど。

【黒田】

オブラートに包むと。

【保井】

どんどんどんどん増えていったという時期があって、ただ最近になって感じるのは、僕自身の投稿でもそうなんですけど、写真を見る目というのがすごく上がってきているという仮説を立てていて、今はこういう時期になっていっているんじゃないかな、本物志向というか。

【黒田】

それはありますよね。

【保井】

片や伸びている子とか、これは『kohki』君という、これはInstagramで検索してもらったらいいんですけど、彼はすごく若くて、この伸び率がすごいんですよ。僕とか濱田さんとかよりも5倍ぐらい伸びています。

彼はInstagramに最適化はしているんだけれども、本当にトレンド感を押さえていて、広角のシャープで、エディットの色味も完璧で、たまにポートレートも撮って、そのポートレートもストリートを感じるような。これがおもしろいなと思っていて、彼の今後とかもずっと見ていきたいなと思えるような人です。

【黒田】

この人は写真自体がうまいなと思いますね。

【保井】

そもそもの写真のうまさってやはりいるよねと。Instagramを最適化する、しないに関わらず、写真のうまさがベースとしてあって、写真、エディットのうまさとか。さらにInstagramの最適化もトレンドに沿っているとなるとどんどんどんどん上がっていくのかなと思いますね。

【黒田】

インスタ映えだけでどうにかなった時代があったんですかね。

コンテンツの質

【保井】

僕は広告というかPR、企画する方とかも、それこそ先ほどのドラマの話ではないですけど、やはりコンテンツの質をどんどんどんどん上げていくというか、やはり似ているユーザーとのキャッチボールなので、それがやはりずれていかないようなことは個人であっても、企業の企画であっても絶対にいるよなと思っています。

【黒田】

確かに。それこそ先ほどの話じゃないですけど、何千人、何万人、何十万人という形で一人一人がいるということを想像するというところに集約されていきそうな感じはしますよね。

【保井】

ついでにいうと、本当に企画でいっても8人の全くお得意様ではない人に届くような薄い投稿なのか、2割の人に届いて、その2割の人がさらに企業とか応援してくれるようなファンを持っていれば、この企画だったら保井さんだよね、誰々さんだよねっていう理屈になるじゃないですか。その誰々さんになれるかどうかを逆算して考えていったら、ここからブレイクスルーのポイントが変わるかなと思いますね。

【黒田】

確かに。自分がこの写真とか、この人だっていうのがやはり尖って思ってもらえると強いのかなと思いますけどね。

【保井】

だから濱田さんがされたサントリーのグリーン ダ・カ・ラちゃんとかはすごくうまいなと思うんですよね。濱田さんの写真とあの世界観が合っていると思いますし、僕もああいうのをやりたいですね。

【濱田】

保井さんなら企画つくって持ち込みでできそうですよね。

【保井】

だから逆にこれからの人は「僕はこういう感じで撮っていて、こういう世界観でできますよ」という持ち込みをしたらいいかもしれないですよね。

【濱田】

今はそれができそうですよね。

【黒田】

確かに。確かに。

【保井】

コンテンツがそもそもいるからね。Instagramを始めて、Twitterを始めて。

【黒田】

話を聞いていると探していますよね。その中からどう選んでいいのか。この人で本当にいいのか。

【保井】

そうなんですよ。結局はそれでこの人は10万人フォロワーがいるから10万人分いいよねって理屈になってしまっていたけど、だんだんこれが変わってくるのかなという風に思いますね。

【黒田】

そこは今が過渡期なのかなという気がしますね。カメラマンだけじゃなくて、それはモデルさんもかもしれないですね。

仕事の種類と割合

【黒田】

さらに今回、保井さんが一切シークレットがないということでお話するのが2016年〜2018年の収入の割合です。カテゴリはnote,講演orイベント,雑誌,写真使用,海外,個人,自治体,企業,長期契約ですか。年を追うごとにnoteや講演・イベントからの収益割合が増えていますね。

2016年〜2018年の収入の割合

【保井】

先ほどいった長期契約のサムスンとか、今まで僕はいろいろやっていたんですけど長期の契約は1年以上っていう基準でやっていて、スポットの撮影案件は先ほどのSNSです。

僕は2015年はもう全く駄目で年収100万円とかでした。ちゃんとなっていったのは2016年からでこの数字になっています。個人撮影とかはもうほぼほぼ2018年は0。2017年は0という感じで、雑誌の撮影は2%とかです。だからカメラマンと聞いて多くの人が想像しているのは、例えば雑誌の撮影とか、個人のウエディング撮影とかはほぼほぼないということですね。

僕はnoteっていう日記を1ヶ月読むのに500円徴収しているんですよね。それを読んでくれる人がいて、要は2016年とかは2.9、2017年に5.8に上がって、2018年、直近で11.6 。その割合が今後は上がっていくのかなと思っています。

【濱田】

もっと割合を増やすということですか。

【保井】

そうそう。増やすというか、増えていったらいいなと思っています。

ファンに向けた、パーソナリティの発信

【黒田】

2016年にはもうマガジンは始められていたんですか。

【保井】

やっていたんですよね。要はこれって僕の写真家としての収入というよりは、文章というのもあるし、僕のパーソナリティというか、写真というよりは先ほどのファンクラブというか、意外と僕は毎月10回発信しているんだけど、そんなに全部読んでいるということはないと思うんですね。

【黒田】

いや。読んでいますよ(笑)

【保井】

僕自身も何個かは購読しているけど意外と読んでなくて、ただその人だったら応援してあげたいし、月500円ならいいかなとかいう思想です。先ほどバックヤードで話していたいのは、自分の好きなこととか好きな発信に対して収入が集まってくるというか、本当に言われてどうこうっていうよりもやっていることにサポートがつくとか、そういう方法というのがどんどん増えてくるし、増えてきてほしいなという風には思っています。

ここで収入依存する企業が出来てしまうと、その担当者が「こんな写真では全然ダメです」とか「もう1回撮り直してください」とか言われたら言い返せないじゃないですか。

【保井】

分散化させられる道がたくさんあるというのがまたいいことだよなという風には思います。

【濱田】

分散化させるというか、自分がコントロールできるメディアとかプラットフォームとか、マネタイズできる場所も移っていこうということですね。

【保井】

そうですね。

【濱田】

最後の砦じゃないけど。

【黒田】

noteなんかはそれをサポートして、プラットフォームとしてやってくれているというわけですよね。

写真家の寿命

【保井】

本当に読めない。”フォトグラファー”は水商売ですね。

【濱田】

動向が読めないですよね。来年は写真の仕事をやってないかもしれない。来年どころかですけどね。来月とかはもうやってないかもしれないですね。

【保井】

本当にあの人は今的なね。

【濱田】

でも写真はそういうものじゃないですか。体力的な問題とか、視力とか、いろいろな意味でリタイアせざるを得ないラインがあって、それはおそらく普通の一般的なサラリーマンに比べると写真家の寿命というのは早いじゃないですか。

【黒田】

そうですね。安定もしていないですしね。

【濱田】

常にそういうことは考えないといけないと思っています。

【保井】

目指している人とかみんな大丈夫かなとたまに思いますよね。でもそういう時代の流れというか後押しというのはあると思うんです。単純にフリーランスとしてやるとしても確定申告とかもソフトとかも便利になっているし、バックアップはあるのでどんどんどんどんやってほしいなという一方で、分散化とか自分がコントロールできる部分を増やしていった方がいいのかなと思います。僕自身は増やしていきたいなと思っています。

【黒田】

写真だけを撮っていたら労働集約になりがちだと思うので、そこではないところに資産ではないですけど、長期契約はまさにそうだと思いますけどnoteとか、労働集約ではないマネタイズの方法なりスキームを持っているといいということですね。

【保井】

写真使用ですね。ロイヤリティというか。Instagram にアップしていたこの写真家の写真を使わせてくださいという風に。

【黒田】

この収入割合の中の『海外』はそういう二次利用的な収入ですか。

【保井】

いえこの『海外』の項目は撮影してくれっていう感じでしたね。結構、英語が面倒くさくてもう2018年は全くやっていないんですよね。

【黒田】

なるほど。保井さんの場合はアップルに採用された写真が印象に残っているので。

【保井】

そうですね。アップルとか、あれは写真使用に入れたかな。だから写真使用に関しても先ほどの2次利用。あれもちゃんとみんな取らないと駄目ですよ。ここまでっていう撮影の写真使用の用途っていうのがあって「ウェブサイトのトップに使わせてください」とか「改めてZINEをつくらせてください」とか、そういうのはきっちり取っていいいものなので、そこはきっちりやった方がいいなと思います。僕自身も取ってなかった時期もあったから学びとしてあります。

それもいわば資産じゃないですかね。インスタに上げていた写真とか、ウェブサイトにアップしていた写真も、要はカタログとしてあって、これを使わせてくださいという風に、これとこれと載せた状態でオーダーが来る。だからそういうSNSで積み上げられる資産の一つなのかなという風に思っています。

【黒田】

そうですね。あとはこの労働集約ではなく写真家としていろいろマネタイズがあると思いますけど、自分は結構労働集約の部分もあるので、濱田さんなんかはそこで撮影しているというところがあるだろうし、そういう意味でSNSはこういう保井さんのようなモデルと親和性が高いというか、マッチしているのかなという感じがします。noteもフォロワー数とかありますし。

【濱田】

保井さんは燃費がいいですよね。

【黒田】

そうですね。

【保井】

全く働いてないですね。

【濱田】

とても燃費がいい。

【保井】

でも移動があるので。

【濱田】

そういう無駄も含めてね。でも体を酷使するような撮影はいずれはできなくなるので、どこかでおそらく変えないといけないというのは常に思ってはいるんですけど。

【黒田】

それが先ほどお話されていたフェーズのお話ですか。

【濱田】

そうですね。僕もいずれできるだけ体を動かさなくても仕事ができる方法というのは考えないといけないなと思っています。やはりここで役立つのは僕らがSNSで獲得しているようなことだとは思いますね。

SNSを使う理由

【黒田】

最後のトピックなんですけど、それで言うとこの「SNSを使う理由」も、それぞれのスタイルで変わりそうですね。我々は本当、保井さんも濱田さんも対象的というか、SNSを使う理由も仕事のスタイルも全く違いましたけど、SNSを使う理由にフォーカスするとどうなんですかね。

【濱田】

単純に楽しいから使っています。僕は割と現実とSNSがシームレスになっていますね。先ほど保井さんも言っていたけど、思ったことは全部言っているというか、全部じゃないかもしれないけど、言えることは言うじゃないですか。それはSNSでなくても同じで、自分の中ではその境目はもうなくなってきていますね。

【黒田】

自分は仕事につなげたいなと思っていますけどね。今は全くつながっていないんですけどね。

【濱田】

何か作戦はあるんですか。

【黒田】

何も考えてないです。

【濱田】

例えばこういう仕事がしたい、みたいなことをもっと言ってみるとか。

【黒田】

SNSなんかはすごくマーケティングしているように思われがちなですけどあまりしていなくて、とても雑な人間なんですけど、もう少し戦略的にやりたいなとは思っています。ヒーコもそうですけど、それ以外のところが忙しいのでなかなかパワーバランスが難しいところなんですけどね。それで言うと、あまり僕は仕事をやりたいというのがないというのも問題かもしれませんね。

【濱田】

僕はこの人を撮りたいなとか、こういう仕事ができたらすごくいいなとか、そういうのがたくさんあるんですよ。それがすごくモチベーションになっていますね。

【黒田】

写真集は出したいなと思っているんですね。

【濱田】

いいですね。

写真を仕事にする事に「こだわり」はない

【黒田】

それぐらいですかね。そういう意味でいくと、話が飛んでしまうんですけど、今回、このトークショー会場をご提供していただいている株式会社アマナと業務提携をさせていただくことになりまして。その目論見の一つとしては、フォトグラファーを含めたヘアメイク、モデル、スタイリスト、デザイナーなどのクリエイターでSNSでも個人活動している人たちでギルド的なものをつくって、アマナが強い広告やビジネスの世界につなげたいと思ってるんですよね。自分の作品性を仕事に活かせる橋渡しのような役目。そこをつなげることができたらすごく自分的にはおもしろいというか、モチベーションを持っているところで、自分が写真を撮っていい仕事をするよりは、こういうプロジェクトに力を使いたいというようなマインドになってしまっているところもありますね。自分自身が写真家として大成するということよりも。

【濱田】

この三人は写真の仕事を一生続けていこうという思いはおそらく共通してあまりない気がしました。

【黒田】

そうですね。そういう考えですね。

【保井】

写真は撮るけどね。

【濱田】

撮るけど、仕事としてはね。

【黒田】

撮るんですけど、だから作家としては、写真家としてはずっと居続けると思いますし、毎日写真を撮りますけど、広告だったりとか、撮影してお金をもらうというスキーム、ビジネスモデルにあまりこだわりがないというのはあるかもしれないですね。

【保井】

逆にそういうのが許される世の中になっていってくださいというのはありますよね。でもなっていくのかもしれないですけどね。

【黒田】

ですね。すでに少しずつなっていっているんじゃないですか。保井さんなんかはそれを体現されているわけですし。

【保井】

そうですね。先ほどバックヤードで話していたのは、今度はまた言語の壁がどんどんなくなって、それこそビジュアルで言えばもちろん言語の壁はないですけど、よりシームレスになって、ファンが世界中にいるとなった時に、世界中に何十万というフォロワーがいなくてもすごく濃い1000人、1000人ぐらいの本当に何々さんのためなら活動のサポートとして月に500円を払いたいとなってもそれだけで50万円になるじゃないですか。もちろんそれだけではなくて、もちろん仕事もやるにしても、そういう方向になっていくのかなという感じはありますよね。

SNSに限らず人と人がつながっていくということは別にSNSどうこうではなく、もう昔からあるわけなので、そのコネクションにSNSが今は便利というだけで、世の中が変わっていくにしても人と人がつながるというのは続いていくという風に思いますね。

【黒田】

そうですね。

【黒田】

濱田さんは仕事としてSNSを使ってというのは考えられていないと思うんですけど、今のところ作品として日々上げられているわけじゃないですか。それがお金になるかどうかといのはともかく、写真家として、作家、アーティストとしてSNSをうまく活用していこうというイメージはあるんですか。

SNSは自由にいられる場所にしたい

【濱田】

そういう意味ではマーケティングとか、作戦とか、戦略みたいなものは実はないんですよ。その時の思いつきで「これやったら面白いかも」みたいな感じでやっています。できるだけ僕はSNSを自由にいられる場所にしたいんですよ。

先ほどの話と同じなんですけど、それで僕がいつも思うのは、ゴミ袋の写真を自分が思っていた以上に見られているというのも一つのエビデンスになっているなと思うのは、やはり僕のコアなところを好きになってくれる人というのは、自分が思い切りやっているかどうかを評価してくれるんだと思うんですよ。

結局、保井さんも言っていたお話ですけど、薄く広くというよりかはその人が思い切りやってることに対してみんなが好きになってくれると思うので、それを積み重ねるしかないなと思うんですよね。だから周りにコントロールされるような、僕にとってはノイズみたいなものをできるだけ排除して、自分がいいと思ったものだけをアップしていくということに徹したいなと思っているんですよね。

【黒田】

それをピュアに。

【濱田】

そうですね。それでずっとやってきているし、自分が好きな時に自分がいいと思える。誰かがではなくて自分が好きだとか、グッとくるとか、そういうものだけを淡々とアップしていくことかなと思っています。

すごくいろいろなものを排除していった時にそれしかないような気がするんですよ。起点としてはそれがあって、その上でもっとこうしたらいいんじゃないかという戦略はあると思うけど、その写真の本質論のようなところに僕は立ち返りたがるタイプなんですよね。それで技術がすごく発達していった時に、写真の持つ意味や価値が僕らの中ですごく変わってしまう時が来るかもしれなくて。

例えばピントを撮るときに合わせなくてもいいとか、そういう作家の意図とされてきたことさえもその時に決めなくて済むという時代が来た時に、でも結局残るのはその人らしさでしかないはずで。そういう外的要因みたいなところというのは今後いくらでも変わっていくと思うし、でも絶対に変わらない部分というのはその人らしさだと思うから、そこを本当にどうつくり上げて、どう見せていくかでしかないのかなって思います。

【黒田】

確かに。

今後、写真家として重要になっていくこと

【黒田】

先ほどちょうど3人でバックヤードにて今後、写真はテクノロジーによってどうなるんだろうという話をしていた時に、例えば位置情報が取れるとか、ピントを変えられるとか、グーグルグラスみたいに眼鏡をかけていたらずっと動画を撮り続けて、好きな時に後からそれを写真で引っこ抜けばいいよねとか、そういう時代になった時に何を我々は写真と呼べるんだろうかという話をしていて、そこで写真家として何を選ぶのかとか、なぜ撮ったのかとか、そういうところは今後テクノロジーが発展して進化していった時に重要になりますよねという話をしていましたよね。

【濱田】

保井さんはよく編集の話をしますよね。

【保井】

そうですね。

【濱田】

色とかトーンじゃなくて。

【保井】

でも”編んで集めるという意味の編集”はどうなるんですかね。先ほど言った広告という文脈で言えば写真、静止画の陳腐化というのはもしかしたら起こるかもしれないというか、限りなく起こるかなという風には見ているんだけれども、人と人がつながったりとか、これはいいよねと思えるような文脈での写真というのは、僕は残り続けると思います。なので、仕事となるとやはり難しいよね。

【黒田】

難しいと思いますね。

【保井】

だから先ほど言った僕と僕の写真とか、濱田さんと濱田さんの写真というの二つをわけて考えるんじゃなく、本当に濱田さん自体にファンがつくじゃないけど、いいと言ってもらえる人がたくさんいるっていう状態が健全なのかなという気がしますね。

【黒田】

品質的なものってある程度テクノロジーで解決するというか、実現可能な世界になると思っていて、その世界では品質の良し悪しよりも、「何故それをつくったのか」ということがおそらく重要になるんですよね。ステートメントが必要な世界というか。なぜそこを撮ったのか。なぜこれを上げ続けているのか。究極はおそらく同じ写真を撮ってつくれるとしても、それをどういう順序で載せるのかというところまで含めて写真家の個性というか、アーティストとしての個性という話になっていくんじゃないかなとは思っていますけどね。

そういう意味では保井さんがよくおっしゃられているような編集というところも含めて、それを写真家というのかはわからないですけど、アーティストとしてはそういうところも含めてなんだろうなと思いますね。研究から生き様になっていくというようなざっくりとした感じになっちゃうかもしれないですけどね。

【濱田】

見せ方の話で言えば、僕らはいろいろとトライしている方じゃないかなと思っていて、保井さんなんかはInstagramに1枚の写真ではなくて、レイアウトして2枚組み合わせて組写真にしてみたり、あとはストーリーズの見せ方とか、それっておそらくありそうで誰もやっていなかったことで。でもそこに力を入れて取り組んでいる人がまだいないというのは、おそらくまだいくらでもあると思うんですよね。

【保井】

そうですね。

【濱田】

だからそこを見つけられた人はおそらくすごく伸びると思うんですよね。少しのことで、すごく力を入れるだけで急にバンといけるチャンスはすごくあると思うので、そのチャンスはおそらく目の前にあるんじゃないかなと思います。

【黒田】

まだまだブルーオーシャンというか、そこは工夫とアイデアで新しく開ける道は残されているんじゃないかなと、少なくとも考えているということですよね。実際にチャレンジもされていますし。そこはSNSのおもしろさでもあるような気がしますね。

【濱田】

そうですね。見せ方をちょっとずつアップデートしていけるのはSNSならではかも。

【黒田】

そういう意味だと写真家であるというか、写真を撮るということ以外にも、どういう風に言うのが適切かはわからないんですけど、そういったところも含めて個人に紐づいたマーケティングと言うと言葉が違うかもしれないんですけど、そういう見せ方であったりとかっていうところも寄与していくということが、SNS上で活用するというキーワードというか、ポイントかもしれないですね。

【保井】

でもある程度天然ですよ。そんなに考えていなくて、割とこれいいんじゃないのっていうノリで、後付でこれはこういう意図でって言ってしまったりするけど、僕はあまり考えてなかったりするからね。

【濱田】

最初はそうですね。

【保井】

レイアウトとか、あれも横の写真をより綺麗に見せたいなとか、単純に複数枚投稿で写真をたくさん載せたいという単純な理由だったので。

【濱田】

でも最初はそういうことだと思いますよ。それで自分でも気づいてやり方が洗練されていくんだと思います。

【黒田】

やりたいベースとか、おもしろいかもとか。

【保井】

だから自分の中で何らかの課題解決力を研ぎ澄ませておく。僕だったらもっと写真を見せたいなというのを課題として、この課題解決はPhotoshopでウエイトを上下してやろうかなとか、そういうところに気づいて、解決までも含めて課題を見つけてやってみたらいいんじゃないかなという風に思いますけどね。

【黒田】

そうですね。

あと少しで終了ということで、最後に何かみなさんに伝えたいこととかありますか。

自分はSNSがそんなに得意だとは思っていないんですけど、みなさんはSNS、Instagramをやっていますという人はいますか。

【保井】

結構やってますね。逆にやっていない人はいますか?

【黒田】

そもそも写真を撮っていない人はいますか。

【保井】

散々、前提としていましたよ。濱田さんの話とかわかりましたか。もう知っている前提で言っていたけど。

【濱田】

でも今、誰も写真を撮らないという人はいなかったでしょう。

【黒田】

いなかったですね。

【濱田】

それはすごく象徴的だなと思います。

【黒田】

我々がとんちんかんなことを言ってなかったということですね。

【濱田】

やはりスタートはそこですからね。

【黒田】

そうですね。そういう会ですからね。

【保井】

あいつらは何を話しているんだという。

【濱田】

そういうところはあったと思いますよ。

【保井】

良かったです。

【黒田】

前提があるので大丈夫ですよ。いやしかし、楽しかったですね。

【濱田・保井】

はい。

【登壇者一同】

ありがとうございました。

おわりに

いかがだったでしょうか。写真のプロフェッショナルとして活動していながらも、そのスタンスやSNSへの向き合い方はそれぞれ、全く異なるものでしたね!

かなり現実的な話が繰り広げられ、正直「写真の仕事って思ってたより厳しい世界なのかも…」と思った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。逆に、従来のスタジオに入ったり写真家のアシスタントに何年もついて…というような流れではない新しい方法・可能性に溢れている点も感じられました。

SNSに力を入れれば良いというより、良い写真・良いコンテンツをいかに発信するか、という話に集約されているように思います。時代の中に順応して、枠にとらわれない形が新時代のフォトグラファーとして生き抜いていく一つの方法なのかもしれません。

トークパーティにご参加された方、また、この記事を読んで様々な思いを感じた方は是非、 #SNS写真時代2019 でその感想や思考を発信してみてくださいね♫

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