自宅でできるライティング上達方法!ポートレート撮影にも活かせる1灯で魅せる4つのセッティング

どうも、須田卓馬(@takuphoto)です。

ヒーコで記事を書かせて頂くのは今回初めてになりますので、簡単ですが自己紹介をさせてください。僕は主に雑誌やウェブ媒体でポートレートの撮影をしています。あとは有料にはなりますがnoteで実際に仕事の撮影で使ったライティングを写真と共に解説したりしています。

今回は自粛期間中、家でライティングの理解をより深めるためにできるライティングの筋トレをご紹介します。

はじめに

何を目指すか

僕は普段仕事で写真を撮っているので必ず撮影する目的があります。芸能人のポートレートなどはドラマや映画の雰囲気を読者に伝えるためだったり、写っているその人そのものの魅力をファンに届けるためだったりです。

まず仕事で撮影が決まると担当の編集さんと打ち合わせをします。編集さんが作りたいページのイメージを聞きそこから撮影内容をつめます。いわば船でいうと船頭です。どこに漕ぎ出すか、大まかな方向は編集さんが決めます。

次にその行きたい方向を聞き、どう撮ればそれを表現できるか考えて提案するところから僕の仕事は始まります。例えば「クールな感じにしたい」「爽やかな優しい感じ」「ダークで色気のある感じ」など大まかなイメージを聞き撮り方を提案します。

ライティングを考える練習

そこでほとんどの場合、必要になるのがライティングです。

今回僕が提案するのは自宅でできるライティングトレーニングです。それもただ撮るだけではなく、明確にどんなイメージの写真を撮りたいかというテーマが先にあってライティングを考える練習です。実はこれ、以前親しくさせて頂いているカメラマンの平岩享さん(以下、平岩さん)の内輪向けのワークショップを手伝った時に参加者に向けて平岩さんがやっていた手法です。

そのときは参加者の方が自分でライティングを考えて平岩さんと僕が補助するという形でしたが、今回は僕1人なので全て僕が考えます。

4つのテーマ

テーマは以下4つのテーマで全てライト1灯だけを使って、どれだけ雰囲気を変えられるか試してみたいと思います。被写体は野菜です(笑)

  • 「優しい」
  • 「格好いい」
  • 「爽やかな」
  • 「力強い」

光の見方

僕はライティングのイメージを作る上で大事なのは光を見る目だと思っています。世の中には無数の写真がありますが、それぞれの写真がどういう光で撮られているのか分かる必要があります。その際、光を構成している要素は、大きく2つに分類できます。

  1. どこから当たっているのか(何方向からいくつのライトか)
  2. 硬い光なのか柔らかい光なのか

 

1つ目のどこからいくつのライトが当たっているのかを見分けるのは、ある程度経験が必要になるかと思います。正面から当たっているものは目の中の光(キャッチライト)の数を見れば分かりますが、背景や頭上からのライトの数などはプロでも正確には分からなかったりします。

ただ2つ目のポイントは誰でも分かります。光が硬いか柔らかいかはメインライトがどのような状態かをここでは指します。簡単にいってしまうと、メインで被写体に当たっているライトが作り出す影の輪郭がくっきりしているかぼんやりしているかで光の硬さを見ます。

輪郭がはっきり出るものは硬い光、ぼんやりしていたりほとんどでていないものは柔らかい光と言えます。

何が光の質を決めるか

ではその硬い光と柔らかい光を決めるのはなんでしょう。答えは光源の大きさです。被写体から見てライトの光る部分が大きいほど光は柔らかく小さいほど硬くなります。ここでよく勘違いされるのはライトを被写体から離せば離すほど光は柔らかくなると考える人がいますが、逆です。

光が遠くなれば被写体から見てライトは小さくなるので光は硬くなります。ですので柔らかくしたければライトを近づけるか、光源を大きくする必要があります。光源の大きさは、アンブレラと呼ばれる傘を使ったりボックスや紗幕と言った布を使うことによって大きくすることができます。

イメージの構築

前置きが長くなりましたが、ここからがこの記事の本番です。

ではそのライトを使って先に述べた4つのイメージをどのように作るか。今回は光の硬さを、一番柔らかい1から一番硬い5までの5段階に設定します。そうすると、

  • 優しい :★☆☆☆☆
  • 格好いい:★★★☆☆
  • 爽やかな:★★★★★
  • 力強い :★★★☆☆

と言ったところでしょうか。ただこれはあくまで僕の主観なので、全く違う撮り方でもそのテーマを満たすことも十分あります。また、イメージによっては格好いい・力強いなんかは星3つにしていますが、5つの場合もあったりします。

今回はそれぞれの光の硬さと向き、被写体と背景との明るさの違いを調整しながらイメージを作ってみたいと思います。

自宅でできるライティング上達方法!ポートレート撮影にも活かせる1灯で魅せる4つのセッティング

「優しい」ライティングの実践

早速撮ってみます。今回紹介するセッティングは、全てライト1灯でおこなうものになります。Profoto B10というバッテリータイプの小型ストロボを使いました。そして背景は全て白い紙を使用。

ではまず「優しい」写真から。今回は日曜の午前中、レース越しに入ってくる爽やかな光をイメージしてライティングします。

ライティングセット方法

ライトにはアンブレラと呼ばれるまさに傘の形をしたアクセサリーを付けます。光が傘に反射するので光源が大きくなり光が柔らかくなります。ただそれだけでは不十分なので紗幕と呼ばれる透過性の高い布を垂らしその向こうから照射します。ライトとアンブレラが太陽、紗幕がレースのカーテンだと思ってください。

セッティング風景

ライティングのセットはこんな感じです。

右側の白い板は、左から入った光を反射して影を薄くする役目を果たしています。

完成

撮れた写真はこちら。

光の硬さ:★☆☆☆☆

どうでしょう。優しい感じが伝わりますか?

「格好いい」ライティングの実践

では次に「格好いい」写真。そもそも今回のテーマがかなり抽象的なので主観混じりまくりなのですが、格好いい写真は背景から被写体が浮き立つようなイメージで撮ってみたいと思います。

ライティングセット方法

背景と被写体を分離するには明るさを変える必要があります。ですので、背景と被写体との距離を離してライトが被写体だけに当たるようにします。ライトも正面ではなくなるべく背景に届かないように上から当てます。

セッティング風景

ライティングのセットはこちら。

完成

撮れた写真はこちら。

光の硬さ:★★★☆☆

いかがでしょうか。サツマイモがブルース・ブラザースに見えてきませんか?

「爽やかな」ライティングの実践

続いては「爽やかな」写真を撮ります。考え様によっては最初の「優しい」写真も爽やかに見えなくもないのですが、ここではスカッと夏の太陽のような光を浴びた爽やかさを表現してみたいと思います。

ライティングセット方法

夏の光なので影はくっきり。なのでライトには何もつけず直接照射します。正面からあててもいいのですが、斜め後ろから当てて野菜の顔を影にして明るさの差をなくそうと思います。

セッティング風景

ライティングのセットはこちら。

斜め後ろから当てた光は手前から白い板で反射させて野菜の顔?を明るくしました。手前に伸びる影もポイントです。

完成

撮れた写真はこちら。

光の硬さ:★★★★★

「力強い」ライティングの実践

いよいよ最後です。「力強い」写真です。これも先ほどの「格好いい」とやや被りそうですが、そこは無視して進めます。力強いというからにはコントラストのある写真を撮ろうと思います。

ライティングセット方法

なので今回は下手からライトを当てて、反対側は少し黒で締めたいと思います。

ライティングのセットはこちら。

ライティングのポイントとしては先ほどまでは白い板で反射していた光を黒い板に変えることで逆に光を吸収し、影を作ったところです。下手のライトはやや硬めにしました。

完成

撮れた写真はこちら。

光の硬さ:★★★☆☆

まとめ

早足でしたがこんな感じで4つのイメージに合わせてライトを組んでみました。どれも家の中でも練習できるものになっていますので、みなさんこの機会にトレーニングを兼ねて試してみてはいかがでしょうか。

カメラの高さやレンズ、構図を変えることによってもだいぶ伝わり方は変わるのでいろいろと試してみてください。

以上、自粛中の須田でした。

Model:佐藤乃莉

さらに須田卓馬氏のテクニックが知りたい方はこちら

須田卓馬 note

最終更新日:2021年8月12日
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