写真と生きる | 松野正也×黒田明臣 対談「ビジュアルは伝える手段」 – 前編 –

松野正也×黒田明臣 対談「ビジュアルは伝える手段」 – 前編 –

アマナグループのサービスについて

[黒田]

本日はよろしくお願いいたします!

アマナさんは、ビジュアルコミュニケーションカンパニーということでストックフォト主体の会社だと認識されている部分も大きいと思うんですけど、この間お話お伺いしたら、色々なサービスを展開されていますよね。今日はその全貌をお伺いしたいなと思ってまして(笑)

話したいことがたくさんあるのですけど、最初にストックフォトについて、お話しできればなと思っています。


amanaimages.com

[松野]

アマナグループは元々、広告撮影から始まっている会社で、ストックビジネスが母体というわけではないんです。もちろん「ストックフォトのアマナイメージズ」という認知は広く、それはそれで良いところでもあるんですけど、お客様のビジュアルのニーズに対して、どのようにソリューションしていくか、というところが中心です。

「桜の写真が欲しい」とお客様に依頼されたら、「今撮り下ろしできない、じゃあストックフォトを使おう」というスタイルなんですよね。そこが他社のストックフォトサービスとは違うアマナの強みであったりします。

[黒田]

まさにそれを感じます。ビジュアルコミュニケーションというのが、根幹にあってそのための手段としてストックフォトがあって、と考えるのがしっくりきます。

一般消費者にとっては掲載時のクレジットなどをはじめとして、アマナさんの名前はストックフォトとして知られることの方が多いでしょうから。実際に自分も昔、ストックフォトというビジネスモデルがあるんだということを知って、じゃあそれはどこなんだろうってなったらアマナさんが一番に出てくるので、そういうイメージがありました。当時写真をやっていなかった頃に、制作会社にいて写真を購入したりしたこともあります(笑)

しかしいまは色々知って、本当に何でもやられてるという印象です。しかも、前衛的と言ったらあれですけど、すごい前を走ってるイメージがあるんですよね。横綱相撲っていうよりは開拓精神みたいなところをすごい感じていて、そういうところがなんか本当にクリエイティブなんだなと思う部分でもあるんですけど。

[松野]

最近は一般消費者向けのイエローコーナーという額装されたアートフォト作品の販売事業や、IMAというアートフォト雑誌の出版事業も展開していますが、写真やイラスト、動画を始めとする「ビジュアル」というのは本来、広く想いを伝える手段の一つとしてもっと活用してほしいと思っています。

例えば、写真をギフトとして使っていただいてもいいですし、自分の部屋とかオフィスでもいいんですけど、主義や信念、メッセージなどを写真に置き換えて、生活の中に取り入れる。
そうするとおもしろいのは、空間に写真があるとそこに話題が生まれるっていうところなんですよ。ビジュアルを通してコミュニケーションを活性化していこうぜっていうのが、アマナの根本にあるんです。

[黒田]

本当に写真というか、ビジュアルイメージを媒体として使われてるというか、そういう思想なんですね。

[松野]

そうなんです。

写真の価値

[黒田]

なるほど。生活に密接してくるレイヤーの話というか、フォトグラファーやクリエイターに限らず、誰にでも当てはまるコンテンツを取り扱っていると。

[松野]

例えば、いまこの会議室に飾ってある光の写真ひとつとっても、一見ただキラキラしたイメージじゃないですか。でも実はこの写真の価値は、いつ誰がどういう背景で撮っているかとか、どういう理由でここに飾っているかとか、そういった側面が重要であって、そこに価値がある。そうして話題も生まれるんですよね。そこに我々は非常にこだわっています。

[黒田]

クリエイターにとっては、ありがたい存在ですね。フォトグラファーもそうですけど。ビジュアルを制作する側の人間としては、場を用意してもらってるというか、かつその中で動いていくための後押しもあるし、道も作ってくれてるわけですし、ものすごーくクリエイターに寄り添ってるイメージがあります。

[松野]

そうですね。まさにおっしゃるとおりです。

[黒田]

ただのストックフォトサービスでは終わらないというか、制作もアサインメントの方で活動されていますし、そういうサービスがありながらストックフォトも開始したというのは、単純に問題解決というか、写真が必要という需要に対してソリューションを提供したらめちゃくちゃ盛り上がっちゃったみたいな、そういう感じなんですかね(笑)

[松野]

もちろんそういう成功の背景はあったと思います。

[黒田]

なんだかものすごくありがたい気がしてきました。祈りささげるしかないレベルの(笑)

[松野]

それはそれですごいですね(笑)

ストックフォトに関して

[黒田]

ストックフォトに関して、今は趣味として写真を嗜む方も増えてますし、そういう方々でも始められるのかな?というのが素朴な疑問です。例えば自分がアマチュアだったときに、普通にストックフォトで写真を販売して生計を立てないまでも趣味の延長で楽しんでいく、写真を楽しんでいくという道もあったかなと思う部分があるんですよね。自分の周りにはあまりいないのですが、そういうフォトグラファーの方もやはりいらっしゃるんですか?

[松野]

そうですね。基本的には誰でもできるというか、そういうことになってます(笑)

細かいことを言うと、いま弊社にはplus.amanaimages.com(amanaimages PLUS)amanaimages.comと二つのサイトがあって、amanaimages.comの方は、プロのフォトグラファーやイラストレーターの作品を取り扱っているのですが、plus.amanaimages.comの方は基本的にはプロでなくても参加可能です。もちろん18歳未満は親の同意書が必要とか、ありますけど。

https://plus.amanaimages.com/

[黒田]

なるほど、逆に言うと年齢による規約をつくらなければならないほどに門戸は広いということですね(笑)

[松野]

誰でも参加はできると。

ただ、ストックフォトを購入するユーザーは、広告や出版、Webメディア等に使うことを目的として購入されるので、基本はそれらに使われることを意識した作品の方がよりサイトで活きてくるという傾向はあります。

[黒田]

それはつまり、趣味の延長として撮った写真をただ掲載してもらうだけでは、購入者の需要に対してダイレクトに響く作品じゃないと売れづらいってことですよね。
元々売れやすそうな写真が作品の人、たとえばテーブルフォトとかなら良いでしょうけど、広告などに使いづらいような写真は難しいと。

撮る側からしてみても、撮った写真が売れるっていうのが一番の成果だと思うんで、そういうポジティブな反応を得るためには、そういう媒体、その中で売れる写真を撮って出すっていうのが大事になってくるわけですよね。

[松野]

はい、そうなんです。

売れる写真

[黒田]

やっぱり単純に好きなものとって掲載してもらうだけだと、チャンスはあるかもしれないけど、そこで生計立てて食っていうのは難しいものなんですかね。

[松野]

本当に好きなもの、例えばアートフォトでももちろん色んな媒体があるので使い道はあるんですけど、売れ筋はやっぱり広告や販促物での使用です。

ライバルも多いですし、検索結果の表示もどんどん埋もれていくと、あんまり見られなかったり使われなかったりする。その中でどうストックフォトに挑戦していくかという観点では、より使用目的を意識した撮影をし、預けていただくのが良いかなと。

[黒田]

ちょっとSNS的な要素と言うか、SNSもただ乗せるのではなく、インスタグラムとかでも戦略的にやってる人とかもいますし、そういうアプローチも必要になってくるっていうことですよね。ストックフォトで売れるための写真制作論というか。

[松野]

そうですね。ただ、SNSよりは、もうちょっと目指すべき方向は分かりやすいんじゃないかなと思ってるんですよね。SNSだと投稿している情報の価値が重要になってくると思いますが、ストックフォトは、あくまでイメージとしての写真が中心になってくるんです。つまり、写真の表現力が重要になってきます。もちろんドキュメンタリーの写真もあるんですけど、SNSとは違うモチベーションや意識が必要になってくるのかなと思っています。

[黒田]

たしかにストックでは見せるものが写真と決まってますし、用途もある程度想像できるので、趣味でやってる人がストックフォトで大成するというか、その中で自分のやりたいことやっていくのはSNSに比べると攻略しやすいというか。

[松野]

そうです。マーケティングしやすい。登録しているフォトグラファーの方でも、マーケティングの場というイメージを持てる方は強い。そう考えると撮りやすいんじゃないかな〜って思ってます。

[黒田]

確かに。マーケティングの場としてというのはありますね。

いまストックフォトを知ってるフォトグラファーの方はいっぱいいると思うんですよ。ただ、そのサービスに自分がどう接していいのか分からない人もすごい多いと感じていて。

そもそも購入された写真が広告として使用されるという認識を持ってない人が大多数いるのかなと思っています。

そういう人たちはちょっとしたアイデア一つで作品撮影の合間にそういう1枚を撮ってみるとか、普段旅行中でも何でも良いですけど、テーブルフォトでも、そういうちょっとした普段の撮影にスパイスを加えるだけで、意外とストックフォトに手を出すだけの素材は我々なんか日々撮ってるんで、あるんだろうなというのは感じますね。

構図一つとってもコピーが入ることを想像したり、撮影する作品についても鑑賞者にコンセプトを連想させたりイメージを抱かせたり、こういう取り組みはストック関係なしに写真の仕事や写真家としての姿勢みたいなところとも近い部分がありますよね。

ビジョンを持つ

[黒田]

自分が知る限りですが、plus.amanaimages.comでもamanaimages.comの方でもそうなんですけど、登録されて、さらに成り上がっている方。言い方がちょっとアレですけど(笑) そこで活躍されてる方っていうのは戦略的にこの写真はこういうイメージだっていうビジョンを持った上で撮られてる印象があります。

[松野]

めちゃくちゃ戦略的にやられています。もちろん我々もそこに対して「こういうキーワードが検索されてます」や「こういうものが売れてます」、「最近こういう広告表現が多いですよね、トライしてみてはどうでしょう?」という形で、情報を共有したりします。

それをヒントにしていただきながらも、プロのストックフォトグラファーは、分析というか、自分の預けた作品の中でABテストをされています。これがだめならこういう形でやってみようだとか、本当に戦略的。

ほかにも、撮影の中のバリエーションの組み方だったり、いち企画撮影の中で、何に使われることを想定し、何を、どのように、どれだけ撮っていくかということを全て系統立ててプランニングされています。なんとなく仕事やプライベートの撮影の合間にっていうよりは、本気でやってる人はちゃんとそのためにプランニングしている感じがしますね。

[黒田]

架空のクライアントを想定して、それに対して、いわゆるディレクション的なところも含めて、やられてるということですよね。

[松野]

そうですそうです(笑) 架空のクライアントっていうところなんですけど、例えば保険や教育教材、不動産、旅行とか、業種で考えると、そこに向けて何作るかみたいなことは、比較的想像しやすかったりするので。こういうイメージよくパンフレットに使われているな、だったらそれらの表現をちょっと自分流にアレンジして撮影してみよう、とか。

人気の「人物」イメージの検索結果
[黒田]

たしかに、一般消費者として日々広告は目に止まっているわけですもんね。そう考えるとその試行錯誤は、取り組む面白さがありそうな気がします。

[松野]

はい、めちゃくちゃ面白いと思います。

[黒田]

さっきのマーケッティングの場として使って欲しいという話もそうですが、架空の仕事を想像してストックフォトをやっていて、実際に商業フォトグラファーとして、つまりプロとしてやっていきたいっていう人、特に広告写真をやりたいなんていう人にとっては宣材にもなると思うんですよ。

自分のブックに入れたりとか。少なからず自分なんかそういう仕事が多いので、種をまいておくじゃないですけど、宣材として撮りつつストックフォトでも展開するというやり方もありますよね。

[松野]

今はロイヤリティフリーが中心になっているので、なかなか使われた写真は見つけづらいんですけど、実際どう使われたかというのは、日々の生活の中で目に触れることもあるわけですよね。

自分の作品がWeb広告だったりとか、街中の交通広告で使われているのを偶然見つける、ということも全然あると思います。そうしたら「ああ、こうやって自分の写真が使われるんだ」といった感動することもあると思います。それがストックフォトの醍醐味だと思うんですけど。そういったことを通して世間に自分の作品が触れていくっていうところはすごいモチベーションになると思います。

[黒田]

なりますよね〜。それは本当に、仕事でやっていてもフォトグラファー冥利に尽きるというか、できるだけ多くの方に見ていただける、一つの喜びというところもあると思うので。

さっきのお話にもあがってましたけど、直接フォトグラファーさんに今こういうのがはやってるよとか、こういう写真撮ってるのであれば、こういうのもついでに撮ってみたらどうですかみたいな、コミュニケーションはあるものなんですね。

「plus.amanaimages.com」と「amanaimages.com」の違い

[松野]

plus.amanaimages.comamanaimages.comでは少しフォトグラファーとの関わり方が違っていて、plus.amanaimages.comの方はフォトコミュニティスタイルをベースに作られていて、フォトグラファー向けセミナーを開催したり、メルマガで情報発信したり。そういったコンタクトの仕方をしています。

amanaimages.comの方もセミナーやメールでの情報発信等はしていますが、作家さん個別にお会いしてコミュニケーションを取ることが多いです。

[黒田]

plus.amanaimages.comの方がプラットフォーム的要素であったりとか、メディア要素があって、amanaimages.comの方はマネジメントに近いような感じですかね。

[松野]

そうですね、実際マネジメントではありませんが、作家さんのお力をお借りしてブランディングしているところでは、それに近いかもしれません。もちろん、全ての作家さんにお会いすることはマンパワー的に難しいですが。

[黒田]

例えばとっかかりってplus.amanaimages.comの方で参加をする感覚で写真を出していってっていうところだと思うんですけど、その先にamanaimages.comがあるわけじゃないですか。

[松野]

そうですね。先というか別のチャネルですね。

[黒田]

そこのチャネルを行き来されてる方とかはいらっしゃるんですか。

[松野]

もちろん。いらっしゃいます。二つに作品を提供していただいている作家さんも多いですね。

[黒田]

そこの切り分けが普通に考えちゃうとヒエラルキーに近いものに感じられそうな側面もあると思うんですけど、そうではなく、チャネルが違うっていう感覚なんですよね?

[松野]

チャネルだけですね、基本的には。クオリティに違いがあるっていうのは全く無くて、売り方やターゲットが違うだけなんです。あと先程お話ししたコミュニティの性質が違うという側面もあります。

[黒田]

そう考えると、良い切り分けですね。参加されている作家さんは何名くらいいるんですか?聞いてよいのかわかりませんが(笑)

[松野]

作家数で言うと大体1万人なんですよ。実質アクティブに活動されている方は500~2,000とか、そういうレンジです。

[黒田]

パレートの法則じゃないですけど、一部の2割くらいが全てをまかなってるというか、それはそうですよね。

[松野]

考え方でいうと、plus.amanaimages.comの作家さん、amanaimages.comの作家さんで切り分けているわけではなく、株式会社アマナイメージズとお付き合いさせていただいている作家さん全部みたいなイメージを持っていて、それぞれどこのチャネルで流通させるのが最適なのか、一緒に選んでいく感覚です。

[黒田]

道というか、販路じゃないですけど、チャネルが違うだけ。

[松野]

その人それぞれにとってどちらが適切かという違いです。

[黒田]

そうですよね。それは作風にもよるでしょうし、制作ベースであったりとか。確かに。

[松野]

あとは使われ方の違いがあります。plus.amanaimages.comの作品使用用途はWeb系のメディアや広告が多かったりするんですけど、amanaimages.comはキャンペーンや企業広告、書籍やカレンダー等、印刷物系媒体が多かったりします。

[黒田]

確かにそこって全然違いますもんね。買う側の意識が特に。写真というメディアに対する価値観というか。

[松野]

全然違いますね。

[黒田]

例えば、ウェブ用の写真となると、やはりいまでもインターネットは無料といった世の中の認識がありますよね。

ウェブメディア用に写真がちょっと欲しいという人たちと、会社のキービジュアルとして写真制作してもらいたいという人たち。これらはストックフォトがソリューションになり得ますけど、「無料で写真なんか手に入るよ」という温度感・リテラシーや、「広告やキービジュアル買います」という人たちへの橋渡し的な存在にもなっているのかなとは、お話を聞いていて思いました。

[松野]

おっしゃるとおりです。

写真と承認欲求

[黒田]

個人的にですが、自分はアマチュアで写真をなんとなく撮っていた人間なので、そういう人たちの気持ちとか、想いとかを考えたり、投影して考えたり、もしくは自分を振り返って考えることが結構あって。

いま世の中的に、ストックフォトをやって生計を立てて、「オレはこれで食っていくぞ!」という熱量の人よりも、承認欲求じゃないですけど、「自分が認められたい」「自分が作ったものを認めてほしい」といった、要はお金以上に、「この人たちに僕の写真は認めてもらえたんだ」という気持ちを、お金と同じか下手したらそれ以上に求めている人はすごく多いんじゃないかなって思っています。

例えばアマチュアで今やってる人たちのアプローチっていうと、コンテストに出してそれが入賞したっていうところで承認欲求を満たしたりとか、あとは雑誌とかの応募でも良いですし、SNSとかで言うと普通に載せていって褒められたり、どこかの会社から声がかかったりとかいうところに喜びを見出したり目指している方が多いので。

[松野]

単純にいいねの数とか。

[黒田]

そうですね〜。それもありますし、写真展をやって人に来てもらえるといった喜びもそうですし。とにかく認められたいという意識をすごく感じます。そしてそのアプローチとしてストックフォトをやろう!という認識が、あまりアマチュアのフォトグラファーにはないと思っていて。

その承認欲求が行き先が、コンテストや写真展のようにストックフォトへと向くようなアプローチをしたら面白いんじゃないかなと思ったのですが、そういうアプローチはしているんですか?

[松野]

さきほどお話したplus.amanaimages.comは、元々フォトコミュニティの考え方がベースで作られてるというところもあって。基本はそこなんですよね。

例えば撮影をし続けるには、その次の制作費につなげる仕組みがないといけないわけですよね。そこには、クリエイティブに対してしっかり対価を支払いできる仕組みとして、活用していただきたい想いがありまして、それでplus.amanaimages.comをストックフォト販売サイトっていう形式で運営をしている側面もあるんですね。

なので気軽にご自身のクリエイティブがそういうプラットフォームを活用して、どのように評価されるかっていうのを試していただきたいと思っています。

[黒田]

なるほど!まさにplus.amanaimages.com自体が、そういう承認欲求を満たすというか、自分をプロモーションして、世の中に知ってもらうっていうメディアでもあり、プラットフォームでもあると。

[松野]

そうです。昔はFotologueというサービスもやっていました。

[黒田]

ありましたね〜!(笑) アマナさんがやっていたのですか!

[松野]

はい(笑)

実はあれアマナでやってたんですよ。あそこは完全にフォトコミュニティで、写真の販売というのはやっていなかったです。
あの延長でもあるんです。実は。

[黒田]

そう考えると面白いですね。

[松野]

あとはクリエイター向けのセミナーなどをやっていますので、我々と一緒にクリエイティブのトレンドやテクニックを学んだり、フォトグラファー同士のコミュニケーションをとることもできます。その中でさらに上を目指していただくとか、そういったところに楽しみを見出してもらいたいですね。


plus.amanaimages.com MAGAZINE

[黒田]

マガジンみたいなのとか、コンテストもやられてますもんね。そういう考え方で色んな人が参加して、その中で自分の写真の発表の場としてやっていけたら結構面白いですね。

普通に載せるよりも、ギャラリーじゃないですけど、ポートフォリオ的な感じで載せてもいいでしょうし。

[松野]

あと見られる機会が全然増えると思うんですよね。

[黒田]

たしかに。しかもSNSとはまた違うユーザー層ですよね。新規開拓と言うか。マス向けという面もあると思いますけど、購入意識のある方が見るわけですもんね。趣味で写真をやっていてSNS活動に勤しむ人が勘違いしがちなポイントがあって、ツイッターでもインスタグラムでも、いいねの95%は普通の人じゃないですか。その中に、「この写真良いから採用しよう」とか「このフォトグラファー良いから仕事頼もう」という裁量を持っている人が見て良いなと思ったら仕事になる可能性も大きいと思いますけど、効率的には、そういう裁量のある方々がみているマーケットに作品を投げたほうが良いですよね。

ただ、どうしてもそういう発想ではなくいいねの数なんかに注力してしまう。いまは、インフルエンサーとして実力あるフォトグラファーを探す企業も増えているので裁量をもつ方が徘徊しているケースも大分増えてきてはいるかとは思いますが。

そういう意味では、ストックフォトをポートフォリオ代わりに使うのはそういうところに直結してるチャネルに写真放り込めることになりそうですね。

[松野]

おっしゃるとおり、まずは放り込むっていう感覚でやっていただいて、乱暴な言い方ですが、一回登録してしまえば野放しなんですよね。仮にその写真が広告的なポテンシャルを持っていれば、自分が知らない間にどんどん売れていってしまう。なんてことがあるかもしれません。

[黒田]

そう考えるとほんとおもしろいですね。

人の目に触れる

[松野]

人の目に触れるという話で言うと、色んな人に見られるテレビで写真が使われるということもありますが、最近だと東京メトロさんの電車内で展開したアートトレインプロジェクトという企画もあります。

地下鉄の車内の中に絵を飾るという企画なのですが、実際にplus.amanaimages.comのクリエイターも参加されています。そういった形で色々な人に目に触れる機会が増えていくので、作品の可能性を広げるっていう意味でもどんどんチャレンジしてほしいなと思っています。

[黒田]

そうですよね。今のアートトレインプロジェクトの話もそうですけど、ストックフォトにかぎらず写真を楽しんでる方々に向けて色々なアプローチで、サービスを展開されていますよね。

IMAやイエローコーナーであったり。写真という共通項の中ではあると思うんですけど、とにかく幅広い印象です。個人的に単純に気になる疑問として、ストックフォトへの流入を狙った展開なのか、ビジュアルで世の中を良くしていこうじゃないですけど、というアプローチの中の一つにストックフォトがあるのかというのも気になりました。

アートトレインプロジェクトについて

[黒田]

アートトレインプロジェクトについて詳しくお聞きしたいですが、あれは、plus.amanaimages.comに投稿されている作家さんの写真を言葉に載せて、電車をジャックっていう言い方が正しいのか分からないですけど、広告として進められてるプロジェクトですよね。どういうきっかけで始められたんですか?

[松野]

元々は、メトロアドエージェンシーの方と宣伝会議の方とアマナの担当者でちょっとした雑談をしていて、その延長で生まれた企画なんです。メトロアドエージェンシーさんとしては、地下鉄の広告媒体の新しい使い方を提案したい。宣伝会議さんにはアーティストの方のネットワークがあり、アマナには沢山の写真がある。その三社で何かできないか、というところからスタートしたわけです。

最初はアーティストの方がアマナイメージズの写真をキュレーションする形でスタートしましたが、今年に入ってから、plus.amanaimages.comのクリエイター二名が作品を提供していただくことになりました。

[黒田]

なるほど。奇跡に近いメンバーで行われた飲み会ですね(笑)。バッター、キャッチャー、ピッチャー全部揃ったみたいな。全員バッターじゃないと言うか(笑)

キュレーションをクリエイターの方がして、plus.amanaimages.comからすると、キュレーションを受けるだけだったところがアプローチもできるようになる良い循環が生まれている気がしました。面白いですよね。先ほどの承認欲求の話で言ったら、結構見てもらう究極のところにあると思うんですよ。この企画。

[松野]

だいぶ究極に近づいてきてるんじゃないかなっていうのはあります。

[黒田]

雑誌とかよりも交通広告って広告の中でも一つの大きな枠を占めてるわけじゃないですか。そこに出せるって、なかなか無いと思うんですよ。

[松野]

広告でバリバリやってる方でないとなかなか難しい気はしますよね。

[黒田]

自分も仕事で広告を撮るんですけど、交通広告の割合なんてそんな多くないんで、来たらうれしいなと思いますし、写真を仕事ではじめて良かったなと思う瞬間だったりします。自分の作品が出るという。無いですもんねそんな取り組みは中々普通に趣味でやっていたら。普通に好きな写真とった結果として、電車載ってますって、正気の沙汰じゃない(笑)

[松野]

なので本当に上手くアマナを利用してほしいと思います。

[黒田]

お話を聞いていて、何でもっと早くに知ってなかったんだろうっていうのはありますね。今回この機会でフォトグラファーの方にも見て頂けると思うので、そういう一つの発想として、自分の活動の中にストックフォトを選択肢として入れてもらえれば、いまのアマチュアフォトグラファーの活動の幅もだいぶ変わる気がしています。

貴重なお話をありがとうございます。

後編に続く。

プロフィール

松野正也

株式会社アマナイメージズ取締役/クリエイティブディレクター。1995年桑沢デザイン研究所卒業。デザインプロダクションで研鑽を積んだ後、アマナグループ入社。2016年より現職に就き、クリエイティブディレクターとしてコンテンツの調達とWEBデザインを統括する。

クレジット

制作​ 出張写真撮影・デザイン制作 ヒーコ http://xico.photo/
カバー写真​ 黒田明臣
出演​ 松野正也
Biz Life Style Magazine https://www.biz-s.jp/tokyo-kanagawa/topics/topics_cat/artsculture/

参考

*plus.amanaimages.com(WEBサイトやオウンドメディアなどで使用する高品質なロイヤリティフリー素材を購入できるWebサービス)
*amanaimages.com(広告・キービジュアル制作に最適な日本人素材やハイエンドな海外ストックフォトが購入出来るWebサービス。動画素材やイラストも充実)

plus.amanaimages.com

amanaimages.com

株式会社 アマナ | amana inc.

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