初心者向けのブツ撮り解説!ストロボで自然光を作る方法

こんにちは。フォトグラファーのななはな(@nanahana_k)です。私はSNSで活動し、ブツ撮りを中心に撮影しています。

皆さんはブツ撮りをされる時に「光」は何を使いますか?

自分でライティングを組んで撮影するのは難しい、興味はあるけど手を出しがたいと考え、自然光で撮影されている方も多いのではないでしょうか。

ライティングはポイントを抑えれば簡単にできてしまいます。今回はライティング初心者の方向けとして、自然光のような光をつくるライティングを解説します。

初心者向けのブツ撮り解説!ストロボで自然光を作る方法

ライティングのメリットとは?

ライティングを組むことには、自分で光の質や方向、光量を調整できる、自然光に比べて安定しているというメリットがあります。自然光の場合は日の光や天気、部屋の窓の位置に依存してしまいます。

しかし自分でライティングを組む場合は、アクセサリーやストロボの位置を変更して光の質・方向をコントロールすることができます。また昼でも夜でも同じライティングを組めば、同じ光を得ることができます。

被写体とイメージ

いつも食べているお菓子を被写体に

今回撮影する被写体は私がいつも食べているクッキーです。私がブツ撮りをはじめたてのころは、おやつに食べるお菓子や朝食に食べるパンなどを撮影して練習していました。皆さんも自分の身近にあるものの撮影からはじめてみましょう。

おやつの時間をイメージ

被写体であるクッキーは私がいつもおやつに食べているものです。そのため、単にクッキーを撮影するだけでなく、おやつの時間という雰囲気が伝わるようなイメージで撮影します。レースのカーテン越しに柔らかい光が入る窓際で、ミルクと一緒にいただくイメージです。

使用機材とセッティング

使用機材

今回の使用機材は以下になります。

  • カメラ: α7iii
  • レンズ: シグマ 70mm F2.8 DG MACRO
  • ストロボ: Godox V860II-S
  • コマンダー: Godox XT-2S
  • 背景: 木目の背景紙、白い簡易レフ板
  • そのほか: 折り畳みディフューザー、ライトスタンド

今回はストロボ1灯を使用します。被写体やイメージにも寄りますが、今回のようなお菓子の撮影であれば私は1灯で撮影することが多いです。複数灯利用すると少し難易度が上がるので、まずは1灯からはじめるのがオススメです。

セッティング

セッティングは上のような状況です。

ストロボはディフューザーを挟んで斜め後ろに設置します。後述しますが斜め後ろから発光させることで、柔らかい光ながらも被写体に影ができて立体感が出ます。光の方向や質は自然光で撮影するときと同じです。

木目の背景紙の上に被写体であるクッキーとプロップとしてグラスに注いだミルクを並べています。背景は簡易レフ板を立てて配置しています。

撮影と設定

それでは撮影してみましょう。まずは試しにストロボ発光なしで撮影してます。

ストロボ発光なし、ブラックボックスとは?

上のような写真となりました。カメラ設定はシャッタースピード 1/250・絞りF5.6・ISO 100としています。見ての通り真っ暗で何も写っていません。これがいわゆる「ブラックボックス」という状態です。

ライティングを組むときの重要なポイントの1つとしてこの「ブラックボックス」があります。これはストロボが発光しなければ、被写体もしくは写真全体に環境光が影響しない状態です。この状態を作らなければ、環境光が影響してライティングを組むのが難しくなります。

部屋の電灯を消したりカーテンを閉めたり、もしくはカメラ側でシャッタースピードを上げたり感度を下げたりしてブラックボックスを作りましょう。

ストロボ発光あり

いよいよストロボを発光させて撮影します。

上の写真のように光を作ることができました。カメラ設定は先ほどのままでストロボの光量は1/16としています。ディフューザーを挟んで斜め後ろから光をあてることで、柔らかい光ながらもクッキーの影ができて立体感が出ています(少しコントラストが高いかもしれません)。

しかし、F5.6で撮影しているため被写界深度が狭くクッキーのエッジと後ろ側がボケてしまっています。また、左後ろ側からストロボを当てているため写真の右側が暗くなっています。全体の露出が少しアンダー気味ですがこの露出は変えないまま、このカメラ設定・ストロボの光量を基準にそれぞれ調整して完成させます。

基準となる設定値を決めておくと簡単

ところで、ライティングはじめたての頃は、思うような露出が出せないかもしれません。そういう場合、少し練習してみて基準となるカメラ設定値・ストロボの光量を自分の中で決めておくとよいかと思います。

私の場合だと先ほどの設定がそれにあたります。基準となる設定値を決めておくと、カメラ設定を変更するときやストロボのアクセサリーを変更するときに、何段露出が変わるのでストロボの光量を何段変更する必要があるか、というのを考えやすくなります。

カメラ設定を変更する

さて、先ほど述べたように絞りF5.6で撮影しましたがこれだと少しボケが強すぎました。被写界深度が狭くクッキーのエッジ・後ろ側もそれぞれボケてしまっていました。

試しにF11で撮影しましょう。F11に絞ることで2段暗くなるのでストロボは2段明るく、つまり光量を1/16から1/4に上げて撮影します。

上のような写真となりました。後ろに置いたミルクのボケが弱くなり、クッキーは先ほどよりシャープに写り、硬い感じが出ました。

レンズを絞りましたが、ストロボの光量を上げたので露出は変わっていません。このようにカメラ設定の変更に対応してストロボの光量も調整します。

レフでシャドウをおこす

今回はストロボ1灯のみを使ったライティングですが、全体的に右側が暗くなってしまっていました。ここをもう少し明るくしたいです。1灯のみのライティングで一部を少し明るく撮りたい場合はどうすればよいでしょうか?

自然光を使う場合もそうかと思いますが、レフを使用してシャドウをおこします。上の画像のように簡易レフ板を配置し、クッキーの右側にできるシャドウをおこします。

撮影すると上のような写真になりました。影だった部分が少し明るくなり、よりクッキーのディテールがわかります。1灯のみの場合はこのようにレフを使用して簡単に調整することができます。

個人的には先ほどのような影があり、コントラスト高めなものが好きなのですが、クッキーの質感がより伝わるこちらの写真の方がよさそうです。

レタッチ

主旨から逸れますが最後に簡単にレタッチします。上の写真はクッキーのくずを除去し私が作成したプリセットを当てています。

ライティング 撮影まとめ

それでは今回の解説のポイントをまとめてみましょう。

ライティング撮影のポイント

  • ライティングには光をコントロールできるというメリットがある
  • 身近なものを被写体にしてみる
  • まずは1灯ではじめてるのがオススメ
  • 撮影するときは「ブラックボックス」を作る
  • 基準となる設定値を決めておくと簡単

いかがでしたでしょうか。今回は初心者の方でも撮影しやすいセッティングでの解説でした。

ライティングは奥が深く、はじめてみるとどんどん楽しくなり色々なセッティングを試したくなります。はじめたての方もこれからはじめたい方もいろんなセッティングを試して、よりよいブツ撮りライフをお楽しみください。

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最終更新日:2021年8月12日
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