簡単レタッチテクニック!写真に映った邪魔なものをPhotoshopやAdobe Camera Rawで除去する方法。

はい!今回はレタッチの中でも、知りたいという要望がとっても多い写真に写り込んでしまった邪魔なものを消すレタッチのご紹介です。まず「撮影現場でも出来る限りがんばったのだけれど邪魔なものがあって撮影を断念した。」ですとか、撮像素子上のゴミの写り込みや花についた小さな虫や花粉などがあり「これだけは消したいんじゃぁぁぁ!!」ということはけっこうあるのではないでしょうか?今回はそのような状況で大活躍するレタッチです。

あ、こんにちわ。ご挨拶が遅くなりました写真家の長瀬正太(@syouta0002)です。という訳で冒頭から少し飛ばし気味な筆者ではありますが早速いってみましょう!いつもここで何か面白いことを言おうとするとたいてい失敗するので(シーッ

簡単レタッチテクニック!写真に映った邪魔なものをPhotoshopやAdobe Camera Rawで除去する方法。

レタッチとは。

まずは基本としてレタッチとはなんでしょう?

撮影後に写真の明るさを明るくしたり暗くしたり。コントラストを強くしたり弱くしたり。全体的な色の調整をしたり色々な収差を抑制してみたり。そういった様々な「撮影後の写真の調整」のことをレタッチと言います(画像補正とも言われます)。これらはカメラの中でもある程度出来ますしパソコン(+レタッチソフト)で行うことがほとんどです。

そして今回ご紹介する方法は撮影後に邪魔なものを消すというレタッチになります。パソコンでのレタッチとなり、今回はAdobe Camera Raw(以下、ACR)とPhotoshop CC(以下、Ps)というソフトを使用いたします。※ACRはAdobe Bridge CC(以下、Br)という画像データ管理ソフトに付随されているRAW現像ソフトです。

消すことを前提とした撮影。

「あそこにある木の枝が邪魔だから撮るのをやめよう。」ですとか「どうしても構図の中に隣の花の花びらが入ってくるから撮れなかった。」と撮影を諦めてしまった事がありますでしょうか?筆者はカメラ覚えたての頃からそのように感じて諦めてしまう撮影がよくありました。

ですが、今現在はそういった場合でも「後で上手く消せるかもしれない。」として撮っておくようにしています。諦めてしまったことがある。という方はぜひ今回のテクニックを覚えて「消すことを前提とした撮影」をしていきましょう。

現場で出来る限りの努力はしましょう。

とはいえ、なんでもかんでも「後処理で消すからいっか!」ではなく、「どうしても入ってきてしまう邪魔なものをフレームアウト出来ないか構図を工夫する。」「邪魔な落ち葉などは拾う。」「画面に入ってくる枝を手で避ける。」など、撮影現場で努力すれば排除出来ることはなるべく行いましょう。※ただし「構図に入ってくる木の枝をノコギリで切る。」ですとか「邪魔な花をちぎってポイ。」ということだけはしないようにしましょう。撮影モラル守るゼッタイ!!

「消すことを前提とした撮影」 参考写真①

※木と雪面のバランスを重視した構図を取ると邪魔なものがいくつか画面に入ってきてしまう。その事を念頭に置きレタッチを前提に撮影。

ACRスポット修正ツール

まず筆者が最初に使うのはACRのツールの一つである「スポット修正ツール」です。

※もし「PsはパソコンにインストールしてあるのにACRは見たことがない。」という方は、事前にAdobe Creative CloudよりAdobe Bridge CCをダウンロードしインストールして下さい。ACRはAdobe Bridge CCからでないと使用できません。

※スポット修正ツールの参考セッティング。

ゴミ取り

このスポット修正ツールは「撮像素子上のゴミが絞りを絞ったことで丸いボケになってでてきてしまった。」という丸いゴミを取るのに使用することが多いです。(参考写真②参照)

レンズの焦点距離にもよりますが概ねF8~F11以上に絞ると出てくる事が多いです。
単に「ゴミ取り」とも言われ、写真コンテストなどでは評価対象になったり「画面を良く見て丁寧にゴミ取りもしましょう。」なんて言われてしまうことも。

※参考写真②

※但しあまり神経質になると全てのゴミを取るのに大変な時間と労力がかかることも。目立つものやプリント時に分かる程度のものを優先して取りましょう。

消しやすいもの

またシンプルな背景のなかで単独で存在するような邪魔なものも消しやすいです。参考写真①の「画面端の枝」「雪面上のポール」「ガードレールの柱」などは霧の背景のお陰でかなり消しやすい状態でしたのですべてをスポット修正ツールで綺麗に消すことが出来ました。

Before After

邪魔なものを消す前(左)と消した後(右)の比較画像。

消しにくいもの

逆に複雑な背景に重なっている邪魔なものや少し大きめなものなどを消すのには向いていないです。

スポット修正ツールの失敗

「消したら画像に違和感が出てしまった。画像上に丸い跡が出てしまった。」という時は失敗です。スポット修正ツールが赤い丸と緑の丸になっている状態(選択状態)で”バックスペースキー”を押すと直前の処理を消してやり直すことが出来ます。

何度か設定を変えてやってみてダメそうな時は、次項解説の「Psスポット修復ブラシツール」を使いましょう。

Psスポット修復ブラシツール

次に筆者がよく使うのはPsツールの一つである「スポット修復ブラシツール」です。ちょっと名前も役割も前項の「スポット修正ツール」に似ているので混同しないようにご注意を。じつはこちらが本命。(先に言え)

と言いましても、うちの生徒でも「Psは難しくてちょっと(汗)」という人が多くてわりと「ACRスポット修正ツール」が活躍しているようです。ただ、覚えてしまえばそんなに難しくはないツールですし非常に便利なツールなので皆さんもしっかり覚えて使い倒しちゃいましょう。

スポット修復ブラシツール準備

筆者の場合、まず写真をPsに展開後「レイヤーの複製」で全く同じ写真をコピーします。そしてコピーした写真でレタッチを行います。なぜかと言いますと、

  1. 「レイヤーの表示 / 非表示」※目玉のマークの “ON / OFF” をすることで上手く消すことが出来たかを簡単に確認することが出来る。
  2. 失敗した場合は複製したレイヤーを削除。もう一度「レイヤーの複製」を作成して簡単にやり直せる。

からです。

「レイヤーの複製」参考例

「レイヤーの表示 / 非表示」参考例

スポット修復ブラシツール使用例

さて、ここでは参考写真③の”背景に重なっている木の枝”を「スポット修復ブラシツール」で消してみます。

※参考写真③

ブラシセット参考例

消したいものをブラシでなぞる。

まず筆者の場合「スポット修復ブラシツール」を使用する時は画面を拡大します。そしてブラシで消したい木の枝を丁寧になぞります。※拡大率は50%~100%程度。細かいものを消す時ほど拡大します。

Psの自動判断

そして、なぞりおえますとPsがコピーする情報を自動判断で選んでくれて瞬時にして木の枝をかなりの確率でほぼ気付かない程に綺麗に消してくれます。

スポット修復ブラシツールの失敗

スポット修正ツール同様「消したら画像に違和感が出てしまった。」「背景が不自然に途切れてしまった。」という時は失敗です。「ヒストリー」(Psで行った作業の記録)でスポット修復ブラシツールの工程をいくつか戻るか、修正が難しそうな場合は最初に「レイヤーの複製」で作っておいたレイヤーを削除してやり直しましょう。

ブラシの設定やなぞりかたなどを変えて何度やってもダメな時は「今回くらいの大きさ・条件の邪魔ものを消すのは難しい。」という自身の経験値にしましょう。(但し、ツール使用の上達や他ツールとの併用で綺麗に消せるようになるかもしれません。練習と勉強を忘れずに。)

絶対に守りたい2つのルール

最後に今回ご紹介したレタッチ方法から筆者なりのルールを2つご紹介。

消した跡が分からないようにする。

これは当然のことながら、自分以外の人に「消した跡がまる分かり」というような状況になるとかなりおっぱずかしいからです(経験者談)

何度でも「レイヤーの表示 / 非表示」でビフォアアフターを確認し、自然な状態で消すことが出来ているかをチェックしましょう。これにはツールの使用経験でもかなり差がつきます。(小さめのブラシで丁寧に、画面は拡大して行いましょう。)

どんなものでも消せると思わない。

「スポット修正ツール」や「スポット修復ブラシツール」をどんなに丁寧に上手く使ったとしても分からないように綺麗に消せないものもあります。例えば、

  • 風景では、広い範囲で無数に入り込んでいる電線。
  • マクロでは、茎を覆うほどに無数についているアブラムシ。
  • 画面の中でかなり目立つ大きなオブジェクト。

といったものを消すのはかなり困難です。
そんな時は…筆者の場合はさっさと他の被写体を探す旅に出ます(笑)

まとめ

では今回のレタッチ方法を名付けて「長瀬流消し消しレタッチ」としてまとめてみましょう。

まず、撮影時には後処理で消すことを前提とした撮影をします。その際に現場で出来る限りの(邪魔なものが画面に写らないようにする)努力はしましょう。

  • 「ACRスポット修正ツール」は主にゴミ取りやシンプルなものを消すレタッチに使う。
  • 「Psスポット修復ブラシツール」は背景と重なっているような少し複雑なものを消すレタッチに使う。

どちらも「消した跡が分からないように」レタッチを行うことが大事。消した跡が写真を見る人に分かってしまうようであればやり直す。

となります。このテクニックを覚えれば、今まで邪魔なもののせいで諦めていた撮影をもう諦めなくって良くなります。そうすれば撮影チャンスもどんどん増えますのでたくさん練習して使いこなしていきましょう。それでは、また!

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