このところ美男美女のレタッチばかりしておりまして鏡を見るのが辛くなってまいりました。
おじさんだらけの国に行きたいです。
ええっとチューネンの心象風景は置いといて… それでは本題。
ナチュラルからのバリエーション
なんだかえらい美しい方です。そのまんまでいいんじゃないか、って言っちゃうと記事にならないんで細々と手を入れていきたいと思います。
まずはExifの確認。
1/160 f/8 ISO 100 写真提供 あきりんくろそん
ここで確認するのはシャッタースピード「1/160」っていう部分ですね。ポートレートの場合特に肌描写がシャッタースピードに影響を受けるのでここは大事。
※ISOも絞りも見ればわかる… というか、わかったところで後からできることがほとんどない(ノイズ処理くらいかな…)のであまり深く考えない。
当たり前ですが描写が違えば手法も違います。肌の質感が変わってくるのはもちろんなのですが、動きのあるポーズの場合は被写体ブレの活かしかたを考える必要があるので一応押さえておきたいポイント。
でもここでは1/160秒とわかればOK。
さっそく現像しましょう。
歯で拾うWB
ポートレートのWBですが… まあ「正しいWB」というのもあるのですけど、白く(正確にはライトグレー)したいところに合わせて白/黒を決めてしまうというのもアリです。
現像時にのWBによって情報量が変わってきますから、ここでディテールを出しておくのはとても重要。
例えばこの写真の場合ですが歯のハイライトの際にRGB値の近い(つまりグレー)部分かありましたのでそこから拾いました。
カラーチャートのないカットで適正値がわからない、あるいは撮影時のWBがイマイチな場合「歯か白眼」で合わせてしまうと良いことが多いです。
どちらかといえば歯かな…(口を開けたカットがあればですけど) 理由は口の中なんで照明条件の影響を受けづらいから。
スポイトで歯のハイライト、RGB値の近いところを拾って7350 (撮影時設定は7100)
あとポートレートに限らずですけど白と黒、明るさの最大値と最低値を先に決めてしまったほうがいいと思います。現像時のWBによって情報量が変わってきますから、ここでディテールを出しておくのはとても重要。素材整形→レタッチという手順を踏む場合、ほぼ例外なくコントラスト下げます。目的がディテールを出すことなのでガツンと下げます。マイナス40前後くらいが多いです。
潰すのは後から出来ますし、色調補正も慣れてしまえば手間はともかくそこそこいけるのですが、消えたディテールはどうにもなりません。
現像髪用にシャープネスをした画像を重ねてマスクで適用
ここでは肌の質感を重視して現像。でもちょっと髪の毛のシャープ感が足りない気がするのでシャープの設定を髪の毛に合わせた現像もしてレイヤーで重ねます。
※このシャープ感、基本見た目合わせなんですがシャッタースピードが速い場合は強めに、遅い場合は弱めにするとなんとなく辻褄が合ったような気になれます。実際のところ、この手のヘアラインはレンズ性能の影響の方が大きいと思いますが…
素材形成、ほこり取り
はい、で素材整形。服のほこり取りなど。
ファンデーションのムラ、肌目や毛穴などを調整、今回は素肌感を出したいので赤みを維持してクスミを取る方向。ブラシ系のツールを使う場合は肌目に沿って動かすのが原則、あるいはポンッと叩くように点で打つか。
このあたりのさじ加減はお化粧する方はすぐわかると思います。ファンデーション塗るのとだいたい一緒。
あとラメの入ったメイクをした場合、けっこう顔中にラメが飛び散っていますのでそれも取りましょう
ハイライトのエッジに注意!! こういった細かい白飛びはキラキラ感だったりするので不用意に消さないようにするのですが… 白眼の白飛びのエッジに妙に濃い縁取りが出ています。
この写真ではあまり出ていませんがハイライトの(表現上の白飛び)エッジには偽色やベイヤー起因と思われる変な色が載っていることが多いのでコピースタンプツールなどを使って丁寧に、変な色だけ落としましょう。
この作業はだいたい400%くらいに拡大するとやりやすいです(ここ大事)
バレ消し。こういうのを消すか否か?
髪の毛。ここは一番丁寧&慎重に…
所謂「バレ消し」なんですが、顔にかかった髪やアホ毛(1本だけあらぬ方向に飛び出てる)を消します。
消すのですが、アホ毛はともかく顔にかかった髪というのは表情の一部ですから、どの毛を消すのか、残すのか? といった判断が勝負を決めます。作業は簡単なんですけどねー ここしくじると写真を台無しにしてしまうので慎重にいきましょう。
髪の動きに自然にフィットした毛はそのまま残して!
目の周りのはぐれヘアーは「目力」を強めたい時は消してしまいましょう。
パンツの色補正
それから白眼に少し白を足して、服のたわみも少し足します。で、パンツ。ちょっと上半身の御召し物と色を合わせたいなと思ったのでペンツールで選択範囲をつくって部分補正。
髪の表情だし-レベル補正
最後に髪の表情をつける為に、ディテールが埋もれてしまっている箇所をレベル補正で少し赤みがかったブラウン方向に振ってみました。
ここまででベースは完了♪
見比べてみましょう。はい、ドン‼︎
現像直後がこちら
素材整形をしてできたベースがこちら
大きな変更はしていないのですが印象的にはだいぶ変わったと思います。
ここの処理を丁寧にやることで色調補正やシャープネスの自由度が格段に上ります。
レタッチをしていないように見せたい場合はここでやめましょう(笑)
さていよいよ絵作りです。
レベル補正で基調のライティング
まずはノーマルにブラッシュアップします。現像時にコントラストを下げていますので、クイックマスクなどを使いましてハイライトとシャドウを足していきます。適度なメリハリをつけたら明るさを調整(ここではレイヤーを新規画像に複製→32bitモードに変換→覆い焼きリニアで調整→統合したレイヤーを16bitに戻して元のファイルにレイヤーを複製)します。
あ、あとキャッチライトがブルーだったので黒眼の色を少しブルーにしました。
トーンカーブで背景と馴染ませる
そして全体の色調補正です。
ここまでは「部分」にフォーカスして作業を進めましたが、ここからは「全体」を整えることを考えます。レベル補正で基調になるライティングの色を、トーンカーブで背景とのバランスを整えました。
基本的なレタッチはこれくらい。
素材整形など下処理にあたる工程を丁寧におこなうとバリエーションも作りやすいです。
おまけ
もうちょっとパンチの効いたレタッチしたぞー!!! っていうのが欲しい時はこのナチュラルに仕上げた写真にちょっと一手間足しましょう。
例えばこんな感じとか
ノーマル(NORMAL)
赤を足してみよう(RED)
フィルム風にしてみよう(FILM)
REDとFILMは強めの効果を当てたせいかアイメイクが飛んでしまったのでアイラインとアイシャドウを別レイヤーに切り分けて調整しています。
アイメイクなし
アイメイクあり
これは局所的な色調補正ですが、このピンポイントで選択範囲をつくる方法はほとんどのケースで有効な手法になりますので覚えておくとメンタルが強くなります‼︎
(やっぱり無茶振りってありますからw いざという時の備え的に♪)
本日のテーマは「下処理(素材整形)を丁寧にするとバリエーションを作る時にとっても楽チン」でした。
次回は… 「映画だシネマだカラコレだー」をテーマにお送りいたします。
さいなら、さいなら、さいなら〜
model / Tometo
photographer / Akilyn Kuroson