こんにちは。カステラ愛好家兼フォトグラファーの杉本(@Sugimoto_Yuya_)です。
今回なんとジョニーがプリセット販売をしたということで、レビューを書かせて頂きます。
このプリセットは「無限の可能性を引き出すLightroomプリセット」というキャッチコピーで販売されています。ジョニーは元々シティスケープやスナップの名手なのですが、最近ではポートレートにも目覚め、朝から夜まで時間場所を問わず撮影する、さながら歩くフォトグラファーです。
さて、そんなジョニーの写真編集に関して自分は元々ある疑問を持っていました。
それは彼のInstagramを見るとわかるのですが、時間・場所、そして光の状態が全くもってバラバラであるにも関わらず、統一感があり、しかも今風のお洒落さと、クオリティの両立、絶妙なバランスを体現しています。
一般に写真で統一感を出す最も簡単な手法は、撮影時の条件をある程度一定環境下に納めてしまうテクニックが考えられます。そうすれば、写真の状態を一定にできるので、レタッチも簡単になっていきます。
ジョニーの場合、撮影段階の条件が様々であっても統一感、安定した高品質にフォーカスできるので、何かすごい秘密があるのではないか!?という疑問の答えをついに垣間見ることができました。今回は、皆さんにもその一端を感じてもらえたらなと思います。
徹底分析して納得した汎用性!無限の可能性を引き出すLightroomプリセットレビュー
今回発売されるのは4つのプリセットが入ったセットが二つと、8種全てが同梱されたInfinityセットです。
セットはそれぞれXseries、Yseriesとなっています。このプリセット名称からして面白いですが、詳しい経緯は本人によるレビューに記載されているのでぜひそちらもお読みください。
Xseriesとは
XseriesはX1からX4までからなる4つのプリセットシリーズです。YはXをアレンジしたもので詳細は後述しますが、それぞれを比較することでプロのプリセット調整を垣間見る事が可能になっています。
では、X1から見ていきましょう。
X1-最も基本になるプリセット




最も基本になるプリセットというX1ですが、前後でヒストグラムを見ると全体に明るくなっていることがわかると思います。
一方でハイライトとシャドウはむしろヒストグラムの内側に入ってきます。中間階調の部分を厚くしつつ、白飛びや黒つぶれの起きる可能性抑えています。この事からも、汎用性にフォーカスしていることが見て取れるかと思います。
また河津桜のような濃い色の花であってもナチュラルな範疇に落とし込まれていて、しかもそれが彩度でいうと薄い側というのが秀逸です。これはプリセットの使用者が特定の色のみをHSLで容易にコントロールできるように作られていることを示しています。
このプリセットはアレンジの方法が面白く、通常プリセットというのはある程度ガッチリ組まれたプラモデルの様な要素を含みますが、ジョニーのプリセットは分解が可能です。
例えばキャリブレーションのみをオフにすると、
桜の色が少し濃くなります。
今度はキャリブレーションをオンに戻してカラーグレーディングをオフにしました。
傘の白さがより白に近くなりました。
これはHSLと彩度、カラーグレーディング、キャリブレーションなど、色に関わる部分の調整をそれぞれ役割を分けつつも、極端ないじり方をしてない故に可能になっている技です。ちなみに下地になっているトーンカーブのカラーリングが良いので、そこに手を加えても使えます。組み替え自在のプラモデルの様なニュアンスですね。こちらの意図を組み込みやすいので、バズーカを持たせるのかビームサーベルを持たせるのかみたいな遊び方ができます。
ここで行った様な調整は以後登場する全てのプリセットで可能になっていますので、プリセットを使ってLightroomを覚えたい方にも便利な作りになっています。
X2-X1と双璧をなす基本のプリセット


X1と双璧をなす基本のプリセットで、X1より少しクールな印象です。
X1よりシャドウに厚みがある反面、光の当たる部分は輝きをましています。全体のコントラストがX1より強くなっていますね。青の色味がコントロールされていて、空や海と相性が良さそうです。
HSLをオフにしたものがこちら。
こちらはHSLをオフにした例ですが青が少し浅くなりましたね。
今度は、HSLのブルーの彩度を少し上げてみました。
こちらはHSLのブルーの彩度を少し上げた例です。自分の好きな塩梅に少ない手数で調整が可能です。
色の調整のみで元々の写真のコントラストの関係性を維持したまま調整できるのはありがたいです。
X3-クールでシャープな印象


クールでシャープな印象を手に入れることができるプリセットです。
切れ味の鋭いコントラストながら白飛び、黒つぶれのケアを失っていません。
またこのプリセットはX1、X2と比べるとちょっと悩むかなと思ったのですが、WBを調整したところ、さらっと調整できました。
WBを少し上げた例がこちら。
更に上げてみました。
切れ味はそのままに印象をコントロールすることができるうえ、海の波間の立体感が秀逸です。しっかり際立ったコントラストが見せてくれる立体感がありますが、それをプリセット一つで手にできるのは驚きです。
空の白さに合わせてWBを調整するもよし、あえて青みを残すもよしですね。
明るさを上げた例はこちら。
思い切って明るさを上げました。夏の思い出と思ったらこっちの方がいいですね。この辺は自分が写真を撮った時の気持ちに合わせ決めれば良いかなと思います。好みを反映させられるので、使っていて楽しく、このプリセットを使うならここまでだなぁ、と言った感じになることがほぼないです。
X4-太陽を味方にする心強いプリセット


太陽を味方にする心強いプリセットで、インパクトのある仕上がりになっていますね。朝日で元々被写体がオレンジなのですが、光の色が強調されています。一方で空の青は深みを増し、コントラストも立っているので立体感の演出にも一役買っています。
カラーグレーディングをオフにした例
こちらはカラーグレーディングをオフにした例です。肌の色味と空の色味が少し浅くなりましたね。
コントラスト・HSL ブルーの彩度調整例
こちらはコントラストを落としてHSLでブルーの彩度だけを少し上げたものになります。二手でここまできますので、インパクトがありつつも可変域も広いという離れ業を見せてくれます。個人的にこのプリセットは使いやすいと思うものの、それ以上に改造の楽しみが大きそうだなと感じました。皆さんがどの様に使いこなすのかとても気になる楽しいプリセットです。
総じてXシリーズは余計な色が混じることなく持ち上げられ、はっきりとした明暗差に自然と仕上げられることで、すっきりとした印象を手に入れる事ができます。
ジョニーは元々の職業柄、建築やデザイン、インテリアなどの知識に富んでいます。その片鱗でしょうか、決して薄くない色の仕上がりになりますが、色彩のバランスがきっちり取られていて、安心して使える怖いものがないシリーズになっています。
Yseriesとは
YseriesはそれぞれY1はX1のアレンジ、Y2はX2のアレンジとナンバーに対応しています。Xシリーズに比べるとコントラストが優しくフェードが乗ってきます。また色味に独特の調整がされていて、Xシリーズと組み合わせることで、総じてバランスよく対応できる写真の数を増やしています。
攻めた表現と汎用性の中立をギリギリまで追い込んだ一品と言えると思います。
Y1-フィルムライクな味わい


X1の発展系ということですが、よりフィルムライクな味わいがあります。
シャドウが浮いてフェードが掛かります。この写真ではシャドウを見せたくなかったのでシャドウを下げました。
一気に引き締まったシャドウですが、撮って出しよりフェードがかかっています。このフェードの量が絶妙で、面白いのが写真に占める黒の割合で同じプリセットでも印象をコントロールできる点です。是非皆さんの写真でも、昼間の写真と夜の写真で比べてみてください。
ちなみに思い切ってフェードを無くしても問題ないので仕事で使うときはトーンカーブを少しコントロールすると言った使い分けも可能です。
Y2-明暗差の大きいシーンで活躍


夜のストリートスナップや明暗差の大きいシーンで有効ということで試してみました。確かに光の表情が明確になり、奥のハイライト部分はキリッとした表情になっている一方で、手前の被写体や光は滑らかな階調になっています。
コントラストが下がって彩度も少し落ち着いているので、可変域の広さを感じます。
調整例はこちら。
露光量を少し上げて彩度も少し上げました。
またWBを上げて濃くなったイエローが良い明るさになるように、色を濃くして色彩的なコントラストを立てながらコントロールをしました。元々のプリセットが丁寧なので調整が簡単な親切設計になっていて、色が際立ちつつも、各色のバランスがしっかり取られているので、都会の喧騒の中でもガンガン使えそうです。
Y3-暖色・寒色を忍ばせたプリセット


Y3はシャドウ〜中間に暖色、中間〜ハイライトに寒色を忍ばせたプリセットです。一見トレンドの逆をいくので使いにくいかと思うのですが、カラーグレーディングとトーンカーブでバランスを取っています。
それゆえに特徴的なプリセットになっています。
ハイライト・シャドウのカラーが特徴的


こちらはY3のあとのHSLでレッドの彩度のみを上げました。
肌の色が綺麗に出つつ、裏の背景の色味が良い感じに仕上がっています。この様に、ハイライトとシャドウに気持ちの良い色が乗るので、乗り具合を調整できれば更なる発展を狙えそうです。
自分は自然の中でポートレートを撮影するのがスタイルなので、都内を中心に撮影するジョニーのプリセットはミスマッチなシーンも多いかもしれないと心配していましたが、こういった背景でもなんら問題なく機能したのは驚きました。
Y4-明暗差で変わるプリセット
Y4は明暗によって効果の出方が違うプリセットで、ジョニーはこれを「ジキルとハイド」と表現しています。せっかくなので露出オーバーとアンダーな写真どちらにも当てて見ましょう。


ハイライトに寒色、シャドウに暖色の様ですね。ハイライトが印象的になりつつエモい色が乗っていて、シャドウはマイルドでフェードが掛かっていて、ハイライトとの対称性が面白いです。まさに都会にスポット的に差し込む光の強い味方です。
お次はアンダーな写真に適用してみました。


なるほど!確かに同じプリセットに見えない面白さですね。
特にアンダーは明るい写真と比べて効果も大きく見えます。
つまり露光量を上げていくと
少し青味が帰ってきます。
またWBを下げるとイエローとブルーの塩梅を簡単に調整できます。コントラストは良いけど、イエローに振れすぎるなと思ったらここを調整すれば良さそうです。
カラーグレーディングでシャドウの色を変えても良さそうです。調整が前提になっているけど、調整が簡単で様々な方向に走れる様になっているので、自分の色に変えていくのも面白そうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ジョニー本人はいわゆるスーパーなインフルエンスを獲得しているわけではありません。
ですが、ハイブランドの広告等、品質を追い求めた結果数々の仕事をこなしていた過去から、最近ではAppleの広告をはじめ、海外でプリントされた写真が仕事で使われています。その実力で仕事を撮るためのこだわりやノウハウが随所に見られるとてもすごいプリセットだと思います。
みなさんもぜひ使ってみてください。
また使用した写真には #ヒーコチャレンジ をつけて投稿してください、みなさんの素晴らしい写真を楽しみにしています。
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